山懐に抱かれて (2019)：映画短評

子の成長に環境がいかに大切かを実感するドキュメンタリーだ。
山地酪農の理想を追い求める父に、決して裕福とは言えない暮らし。
それでも家族で共に働き、糧に感謝しながら囲む食卓を知る彼らは、酪農に魅せられていく。
”親の背を見て子は育つ”は真実なり。
ただ本作は24年間の記録を凝縮したもの。
途中、息子と父が酪農方針を巡って意見を戦わす場面もあるが、実際はもっとバトルがあったはず。
うどん製造業を営む一家の22年を追った『五島のトラさん』同様、長期取材を２時間にまとめる難しさを感じる部分ではある。
言い換えればそれだけ取材対象者が魅力的なのだ。
地方TV局ならではの着眼点と根気が素晴らしい。