略歴: 脳梗塞で死にかけ、今は杖片手に早めの余生。一応映画文筆屋。Web中心に村松健太郎の名前で書いてます。どうぞごひいきに。
近況: お一人でも映画館に行こうという気持ちになっていただけるように精一杯やらせていただきます。
サイト: https://www.instagram.com/kentaroumuramatsu_osonerampo/?hl=ja
嵐の雪山で遭難した二人の男は命からがら山荘に逃げ込む。そこで死を覚悟したゆえに発した告白によって、親友だった二人は、一転してサバイバル劇を演じることになる…。シチュエーション設定がとにかく秀逸で、これは巧くやれば面白い映画になるだろうと思いましたが、山下敦弘監督が見事にやってのけました。あまりサスペンスの印象はなかった監督ですが、このジャンルでも腕利きぶりを堪能できます。もちろん生田斗真とヤン・イクチュンという二人が揃ったからこそでもあります。74分という短い時間を一気に駆け抜けます。
ジョージ・ミラー監督の伝説的なアクションシリーズ最新作にして初のスピンオフ。なんと今回、フュリオサ役がシャーリーズ・セロンからアニャ・テイラー=ジョイに変更されました。はっきり言ってシャーリーズ・セロンが演じたからこそフュリオサは活きたのではないかと思っていたので、この変更は不安要素でした。しかし、いざ、本編を見てしまうとそんなことは余計な心配でした。これまでもハズレのないフィルモグラフィーを築いてきたアニャ・テイラー=ジョイでしたが、今回も最高です。細かく見ると『怒りのデスロード』に繋がるには整合性が取れてないところもありますが、問答無用の勢いと熱量で細かいことは吹き飛ばして駆け抜けます。
「猿の惑星」フランチャイズ10作目。とは言いつつもかなり独立したお話になっているので、旧シリーズはもちろん、リブート3部作の復習もあまりしなくて問題ありません。そして、これまで”猿の惑星”というタイトルでありながら”人間と猿の物語”になっていましたが、今回はかなり”猿と猿の物語”になっているところに新味を感じました。人間部分の代表となるノヴァのキャラクターにはいろいろ違和感を感じながら見ていたのですが、結末まで見るといろいろ腑に落ちます。これまで撮影当時の現実を投影した物語が続いてましたが、今回はかなりSFアドベンチャー路線に舵を切った感じです。
前作で定年退職して、しかもそれからも数年が経ちどうやっても”刑事”になれないタカとユージですが、横浜に還ってきて、見事に”あぶない刑事”が復活です。あるロジックで成り立つのですが、もはやファンタジーと言ってもいい展開です。なのにそれが許されてしまうのは偏に舘ひろしと柴田恭兵という二人の俳優が起こし続ける化学反応のおかげと言えるでしょう。こんな二人は寡聞にして他に知りません。延々と壊れ続ける浅野温子も凄いですし、二人の前だといつまでも半人前感を出せる仲村トオルも凄いです。とにかく楽しんだ者勝ちの映画でした。
これまたすごい映画が出てきたものです。本当にあることを全く描かないんです。なのに、ものすごく訴えかけてくる構造になっていて、驚かされました。へたなホラー映画よりはるかに恐怖感が伝わってきます。ジョナサン・クレイザー監督の異能ぶりが遺憾なく発揮されています。そして何と言っても本作の見どころ(=聴き所)が”音”。アカデミー賞の音響賞を受賞したのも納得です。できるだけ音の良い劇場でご覧ください。そしてこの邦題を決めたセンス最高です。