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ボス・ベイビー (2017):映画短評

ボス・ベイビー (2017)

2018年3月21日公開 99分

ボス・ベイビー
(C) 2017 Dreamworks Animation LLC. All Rights Reserved.

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.6

森 直人

ベイビーはいつだってボス、の反転的着想!

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

先に吹替版を観ていたウチの5歳の息子(ひとりっ子)が絶賛! 色々解説してくるのであわてて観に行ったら、確かによく出来てますな~。基本は『ベイビー・トーク』(遡れば『私は二歳』)の応用進化形ながら、裏側から『ウディ・アレンのSEXのすべて』なんか匂った気がしたり。タイトルバックはマジ傑作!

妄想好きな7歳のティム少年の主観(性)で貫いているのも秀逸。「ブラックバード」を自分の為に両親が作曲してくれたと思い込んでる甘ったれから、お兄ちゃんへと荒療治的成長を果たす“人生最初の通過儀礼”。あと、アステアやエルヴィスなど古典ネタをファミリー/キッズムービーで使ってしまう米国芸能史の継承力に改めて感嘆。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

中間管理職はつらいよ。

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

全米から1年、ようやくの日本公開。近年のミニオンのようにキャラ先行型と思いきや、そこは“あの”『マダガスカル3』のトム・マクグラス監督作。『トップ・ハット』の「Cheek to Cheek(頬よせて)」が流れる冒頭から、何かが違う。一見、荒唐無稽な設定に見えるが、弟ができた兄の成長物語という普遍的な設定。しかも、『オースティン・パワーズ』シリーズも手掛けてきたマイケル・マッカラーズの脚本だけにスパイ映画を始め、ルビッチなどの名作オマージュに、中間管理職の悲哀も絡めるなど、かなりオトナ向け。『コウノトリ大作戦!』とカブる部分もいくつかあるが、こちらはラストまで息切れしない演出で魅せてくれる。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

突飛な設定+クラシックな感覚の妙味

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

冒頭から流れる曲が、フレッド・アステアが歌う「チーク・トゥ・チーク」。『カイロの紫のバラ』などにも使われたバージョンで、どこかクラシックに回帰するような作り手の姿勢はキャラクターや美術にも満ち、全体に懐かしい風合い。それゆえにオッサンの姿で誕生した赤ちゃんという突飛な設定も、すんなり受け入れられる。この世に誕生する前の「選別システム」など非現実的な楽しいシーンも多いが、「子供にしか見えない世界が真実」というシニカルなテーマも隠れている妙味。世のオッサンたちが、じつは赤ん坊のように自分本位で身勝手な部分も多いという裏読みも可能だ。これが女性キャラなら……と考えながら観ると、さらに想像力が広がる。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

少年が空想に没頭する瞬間、世界が変わる

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ボス・ベイビーの兄である7歳の少年ティムが、自分の空想の中で海賊になったり宇宙ロケットに乗ったりして冒険を繰り広げる時、映像のタッチがガラリと変わる。その瞬間の、世界が変貌する感覚が快感。
 世界の色は幼児向け絵本のようなカラフルさに変わり、人物や風景の形がグラフィックに変形され、立体感も飛び出す絵本のような演出になる。本作のクリエイターたちが、ティム少年の空想シーンはチャック・ジョーンズやテックス・アヴェリーら40~50年代の名アニメーターのタッチを意識して描いたと語っているのも納得。その映像表現の自由さ奔放さは、子供の想像力と同じ。その映像が、子供時代の自由な感覚を思い出させてくれる。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

予想するよりテーマはダーク

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

 タキシードを着た赤ちゃんの絵柄だけで、心をそそられる人は少なくないのでは。だが、実は結構辛辣。両親の愛をひとりじめしてきた少年ティムは、自分の下に生まれた赤ちゃんに嫉妬を感じている 。その弟(映画の中ではただボス・ベイビーと呼ばれる)は、ティムに、愛は全部にいきわたるほどないと言い、自分の使命は、赤ちゃんが永遠に世界で一番かわいい存在で、誰よりも愛を受けられるよう、 永遠に子犬のままでいる新種の犬を破壊することだと言うのだった。
 最終的には愛の大きさを語るものだが、大人受け狙いが明らかなジョークや、とってつけたようなアクションシーンのせいで、時に薄っぺらさを感じるのがやや残念。

この短評にはネタバレを含んでいます
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