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伊藤くん A to E (2017):映画短評

伊藤くん A to E (2017)

2018年1月12日公開 126分

伊藤くん A to E
(C) 「伊藤くん A to E」製作委員会

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

くれい響

伊藤とヒロインが対峙する壮絶なクライマックス

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『悪人』に『謝罪の王様』と、岡田将生が楽しそうにクズ男を演じる作品にハズレはない。本作も彼が前回、廣木隆一監督と組んだ『雷桜』に比べれば、面白く、徹底的に不快にさせてくれるのだが、深夜だけに演出も描写も攻め、スピッツの名曲で締める、あざとさすら感じた岡田不在のTVドラマ版に比べると、いささかモノ足りない。これはあまりに映画を意識してしまった廣木監督によるエゴが生んだ結果ともいえるが、そんななか、まったく感情移入できない伊藤とヒロイン・矢崎が対峙する長回しのクライマックスは、突出した仕上がりだ。ちなみに、個性的な女優陣のなかでは、夏帆と池田エライザが群を抜いて良い。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

恋愛ドラマの装いをまとった人間賛歌

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 テレビ版では女性たちを振り回しかき乱すモンスター的な存在として、4人の役者が演じ分けたナルシストで自己中心的なイケメン「極薄生ハム王子」伊藤くんを、スランプに陥った脚本家のヒロインが克服すべきものの象徴として、実質的なダブル主人公に据えた映画版。同じストーリー、同じ主要キャストでありながら、視点を変えることで全く新しい作品として成立していることに驚かされる。
 自分が傷つきたくないがために身勝手な言動を繰り返す伊藤くんに、現代日本に蔓延する風潮のある一面を投影しつつ、ぶざまな醜態を晒してでも懸命に人生を前進しようとする女性たちにエールを送る。恋愛ドラマの装いをまとった人間賛歌として秀逸だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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