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『カラオケ行こ!』狂児役・綾野剛の「0.5歩引いた魅力」

メイキングより聡実役の齋藤潤、狂児役の綾野剛
メイキングより聡実役の齋藤潤、狂児役の綾野剛 - (C)2024『カラオケ行こ!』製作委員会

 和山やまの累計発行部数60万部を突破する漫画を実写映画化する『カラオケ行こ!』(公開中)で、歌が上手くなりたいヤクザ役として主演を務める綾野剛。医師、刑事、官僚などの職業人からヒールまで幅広い演技力を誇り、冨樫義博の漫画を実写化したNetflixシリーズ「幽☆遊☆白書」(戸愚呂弟役)の怪演も話題だが、『カラオケ行こ!』で初めて綾野と本格的に組んだ山下敦弘監督が「他の作品で観てきたのとはちょっと違う、0.5歩引いたぐらいの綾野くんが素敵だった」とその魅力について語った(※一部ネタバレあり)。

【画像】楽しそう!メイキング&場面写真

 本作は、綾野演じる歌がうまくなりたいヤクザの狂児と、嫌々ながら彼の指導に当たる合唱部部長の中学生・岡聡実の奇妙な交流を描くストーリー。中学校生活最後の大会を前に、変声期に差し掛かり悩んでいた聡実の前に、突然「カラオケ行こ」と、スーツ姿の男が現れるところから物語は幕を開ける。聡実を演じるのは、オーディションで抜擢された16歳の新人・齋藤潤。脚本を、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」や「アンナチュラル」などを手掛け、山下監督と「コタキ兄弟と四苦八苦」(2020)以来のタッグとなる野木亜紀子が務めた。

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 主演の綾野と山下監督は2015年の深夜ドラマ「山田孝之の東京都北区赤羽」で撮影現場を共にしているが、ゲスト出演だったこともあり「あの時は時間がなくほとんど喋っていなかったので、組むのはほぼ初めて」と山下監督。「映画の軸は聡実の成長ストーリーなので、綾野くんは俯瞰して現場をみられたんじゃないかなと。潤くんの芝居について“このままで大丈夫かな”みたいなことも相談できるし、 それこそ役者同士だから潤くんに“なにか悩んでいる?”といったことも聞けるし、綾野くんと一緒に作っていく感じがすごくありましたね」と綾野が頼もしい存在だったようだ。

映画『カラオケ行こ!』本編より狂児(綾野)

~以下、映画の詳細に触れています~

 綾野演じる狂児は、組長(北村一輝)が審査員を務める恒例のカラオケ大会で、最下位になった者を待ち受ける“屈辱”から逃れるべく、藁にもすがる思いで中学生の聡実に歌の指導を懇願する設定。負けた者は、組長に自分の一番嫌いなモノのタトゥーを彫られる“モルモット”になるという。狂児は十八番である X JAPAN の「紅」で勝負しようとするも、聡実からは音域も技術も伴っていないとダメ出しされ、決して歌が上手いわけではない。一方、綾野本人は山田孝之、内田朝陽とバンド「THE XXXXXX」を結成していた時期もあり(※綾野はギター、コーラスとして参加)、綾野の歌声を聴いた山下監督は「普通の人より全然上手いし、どうしよう」と迷ったという。

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 「クランクイン前に綾野くんとカラオケに行って歌ってもらったら、普通に歌えるというか、全然上手いからどうしようかなって。原作では聡実に“終始裏声が気持ち悪い”と言われる設定なので、全部裏声で歌ってもらったりしていろいろ調整しながら、綾野くんも“ちょっとビジュアル系っぽく歌ってみます”と提案してくれたりして。綾野くんに関しては『紅』という曲が好きすぎるあまり裏声になっちゃうみたいな感じでイメージをつくっていきました。狂児の歌はその一回きりで何となく出来上がった感じです」

 撮影は、聡実を演じる新人の齋藤を、綾野と山下監督がプロデュースするようなかたちで進んだ。本作の綾野の演技について「綾野くんって尖ったキャラクターや、主演でありながらも攻めていくような役が多い印象があるんですけど、今回はコメディーで、受けのポジション。終始寸止めでいてくれた感じがしました。ご本人がどう思われていたかはわからないですが、きっと普段より我慢している部分もあったんじゃないかなと。そこがグッときましたし、まさに狂児だなと。僕との初めての作品になったんですけど素晴らしかったですね」と賛辞を送る。その一方で、役へのこだわりに圧倒されたとも。

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 「狂児のネクタイ、時計1つとっても、めちゃくちゃこだわっていました。僕からすると“いったい何が違うの?”って思うぐらい(笑)。それに、クライマックスでの潤くんに負けじと、綾野くんも僕がオッケーを出しても“もう1回いいですか”とおっしゃることが結構多くて、自分が納得するまでやるタイプだと思います」

メイキングより山下敦弘監督

 また、綾野がアドリブを入れることもあったという。例えば、狂児と聡実がビルの屋上で話すシーン。どうせ組長にタトゥーを入れられるなら嫌いなモノより好きなモノの方がいい、だから組長の前で好きなモノを嫌いと言い続けてはどうかと提案する聡実に、狂児は納得しながらも自分が負ける方向で進んでいるのはどうかとツッコミを入れる……といったシチュエーションだ。

 「二人の掛け合いの終わりの方で、“だって歌下手やんか”(聡実)、“うわ、グサ! ひどいわ、傷つくわ”(狂児)のあとに、“刺さってもうたわ、ちょっと抜いて……”と聡実に返す狂児、それに対する聡実のリアクションというあたりは綾野くんと潤くんが現場で話し合って決めたものだと思います。本番でいきなり、ということはなかったですけど、綾野くんがシーン終わりのカットがかかる前にぽろっと何かを入れてくることは何か所かありました」

 中学生を歌の師匠として仰ぐヤクザという狂児の荒唐無稽なキャラクターについて、山下監督は「理屈で考えるとできない役」だというが、綾野は軽やかに演じてみせている。(取材・文 編集部・石井百合子)

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