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砂田アトム、全国のろう者に呼び掛け「自分にもできる、という思いを」

砂田アトム
砂田アトム

 ろう者の俳優、手話表現モデルとして活躍する砂田アトムが11日、都内で行われた映画『LOVE LIFE』公開記念舞台あいさつに出席し、ろう者の俳優として本作に出演した感激の思い、誇りについて語った。

【画像】木村文乃、砂田アトムらレッドカーペットに登場!ベネチア映画祭の様子

 メ~テレ60周年記念作品として制作された本作は、『淵に立つ』で第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞を受賞した深田晃司監督が、矢野顕子の楽曲をモチーフに制作。愛する夫と息子と幸せな日々を送っていた主人公・妙子(木村文乃)に突然降りかかる予期せぬ悲劇、その悲しみの先に見いだした彼女の選択を描き出す。

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 先ごろ、本作が出品された第79回ベネチア国際映画祭に参加したばかりの砂田は「まさかろう者である自分がレッドカーペットを歩くなんて思ってもみませんでした。でも、ろう者でもレッドカーペットを歩くことができるんだ、ということを全国のろう者に伝えたいんです」と語ると、会場に集まった観客は“拍手の手話”で砂田を祝福。

 撮影を「深田監督をはじめ、現場には優しい人たちばかりだった」と振り返る砂田は、「スタッフの方から手話を教えてほしいと言ってくれたり。『ヨーイ、スタート!』『カット!』というかけ声も手話で覚えてくれた」としみじみ。

 劇中で砂田が演じるパクは、木村演じる主人公の前の夫であり、韓国籍のろう者という設定。韓国手話でコミュニケーションをとる役柄となるが、自身が韓国人を演じるということに、「最初は違和感がありました」という。「やはり韓国人の役ならば、韓国人のろう者の俳優が演じるべきではないかと思ったんです。日本人である自分が無理してこの役を演じるのはどうかと思った」との思いから、深田監督に正直な思いをぶつけて、相談したことがあったという。

 その結果、「深田監督はとても優しい方なので、そのことを理解してくれました。そこで両親が韓国人ということではなく、韓国人と日本人の間に生まれたハーフということなら演じることができるかもしれない、と提案しました」とのことで、深田監督も砂田の意見を取り入れることとなった。「もし監督がそれを認めてくれなかったら、最後までやりきれずに途中で逃げ出していたかもしれない。でも監督がそれを受け入れてくれて、一緒に作りあげてくれたおかげでやれました。本当にうれしく思っています」と笑顔を見せた。

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 過去に妙子のもとから姿を消すなど、どこか影のあるパクという役柄とはガラリと変わって、この日は終始ニコニコ、ジョークを交えながらも笑顔を絶やさずにいた砂田。「演じる時は砂田アトムを捨てて演じないといけないと思いました。だから深田監督と相談して、少し気の小さい男として演じたんです」と振り返る。そして実際に演じた姿をスクリーンで見た時のことを「俺はちゃんとやったんだなと思いましたね」と自信を見せ、会場を沸かせた。

 「一番伝えたいことは感謝の気持ちですね」と語る砂田は、「ろう者の俳優で、映画に出たいと思っている人はたくさんいる中で自分が選ばれ、しかもベネチアのレッドカーペットを歩けたことは、自分ひとりの力でできたわけではありません。たくさんのろう者の力、その思いを受けてあの場に立てたことを、本当にうれしく思います」と語った。

 そして「全国のろう者の皆さん、子どもたち、手話関係者の皆さんに本当に喜んでいただいています」と続け、「この『LOVE LIFE』という映画は今までの映画、ドラマとはまったく違います。この映画ではろう者の文化、手話など、いろいろなものが描かれています。ですから砂田アトムが出たんだから、自分にもできる、という思いをみんなに持ってもらいたい」と力強く語った。さらに「そしてこれから映画の世界、テレビの世界、舞台の世界などで、ろう者がどんどん活躍できるようになることを願っています。皆さん、一緒に頑張りましょう」と呼びかけ、そんな砂田の思いに、会場も“拍手の手話”で応えていた。(取材・文:壬生智裕)

映画『LOVE LIFE』は全国公開中

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