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高橋一生、キャリア20年の転機とは

実は子役出身の苦労人!
実は子役出身の苦労人!

 2017年、さまざまなメディアで“ブレイク俳優”として大きく取り上げられた高橋一生。とは言うものの、俳優としてのキャリアは20年以上と長く、以前から実力派として映画・ドラマ・舞台に数多くの作品に出演してきた実績があり、ある意味で「なぜ今になって」という思いを持っているファンも多いのではないか。そんな高橋が、俳優人生を振り返りながら、ターニングポイントとなった出来事や、現状の自身の立ち位置について語った。

白が似合う…その佇まいが高橋一生【作品フォトギャラリー】

 高橋は「いかに演技を捨てられるか」というテーマに挑んでいるというが、その理由を「今の視聴者の目は非常に厳しく、本質的なものに迫っていくためには、ある程度嘘っぽくみえてしまうことを、限りなく嘘にしないで嘘をつくようにしなくてはいけない」と持論を展開。「この作品で自分ができる芝居は、虚飾っぽくみえる虚飾を排除していくこと」と語る。

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 「この作品」とは、俳優・斎藤工が「齊藤工」名義で挑んだ初の長編監督作品『blank13』。本作で高橋は、13年前に突然失踪した父(リリー・フランキー)と対峙する主人公・コウジを演じているが、彼の言葉通り、劇中にドラスティックな出来事や、分かりやすい心の揺れは描かれていないが、その佇まいだけで、父子の間にある多くの感情を思い起こさせる必要がある。そして高橋には、存在するだけで観る者に物語を想像させる力がある。

 いるだけで人物を想像させる存在感、確かな演技力、俳優としてのしっかりした考え。こうした要素が相まって現状の大きな波を起こしているように感じられる。「俳優としてのスタンスはまったく変わっていない」という高橋だが、現在の状況について、「若いころに表現していたものは年齢と合致しておらず、アンバランスだったのかもしれません」と今の年齢だからこそ、視聴者に受け入れられたのだと自己分析する。

 20年以上の俳優人生の中、転機となった時期が大きく分けて3つあったという。「27歳、32歳、36歳ぐらいのとき。作品でいうなら『医龍』シリーズ、『Woman』、『民王』というテレビドラマの前後です。このあたりで自分のお芝居のフォーカスが絞れてきたような気がしています」と語り、特に「民王」以降はずっとターニングポイントで、芝居をするたびにガラッと世界が変わっていく感じがしているという。

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 特に27歳前後の変化は大きかったようで「このころから、ポジティブであれ、ネガティブであれ、人の芝居を評価しなくなりました。そういう概念がなくなった」としみじみと語る。その理由について「それまでは演劇をたくさんやっていましたが、少しずつ映像作品に呼んでいただけるようになった時期でした。そこでいろいろな俳優の方と共演させていただくようになり、結局は人柄だと思うようになった。どんなキャラクターを演じていても、人となりというものは出てしまう。もともと僕はテクニカルなお芝居が苦手で、芝居を完璧にやるとか、うまくやるということが果たしていいことなのかという疑問を持っていたのですが、そのモヤモヤが解消された時期でした」と当時を説明する。

 「俳優というのは芝居のうまい下手ではない」と確信してから10年。こうした考えは前述した「いかに演技を捨てられるか」ということにリンクしているのかもしれない。そして高橋が目指す表現方法が、彼の言葉を借りるなら「年齢と合致」することにより、大きなうねりを生んでいるのかもしれない。今は出演作が途切れることがないほど多忙な日々を送っているが、その役の幅も多岐にわたっている。

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 現状について「社交辞令だろうと思いつつも、周囲の熱量が上がってきていることは肌で感じています。けれど自分自身が芯まで熱くなってしまってはいけないと思う」と現状を冷静に分析。「これから40代、50代とさらなる未知の世界に突入していきますが、芝居をやれていることに静かに幸せを感じて進んでいきたいです」と朗らかな笑顔で語ってくれた。(取材・文・写真:磯部正和)

映画『blank13』はシネマート新宿にて公開中、2月24日より全国順次公開

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