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大学生が21歳で拷問死…実在の事件を映画で暴いた監督、被害者思い号泣

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涙するチャン・ジュンファン監督
涙するチャン・ジュンファン監督

 警察の取り調べ中に大学生のパク・ジョンチョルさんが拷問死した事件の隠蔽工作を引き金に、大統領の直接選挙制改憲を中心とした6月民主抗争までを追った映画『1987(原題)』試写会が、12月13日にソウル市内の映画館で開催され、上映後にチャン・ジュヌァン監督、キム・ユンソクら主要キャストによる会見が行われた。ジュヌァン監督は「1987年も2017年も韓国国民の熱い思いは変わらないと思います。パク・ジョンチョルさんは当時滿21歳でした……」と話すと、言葉を詰まらせて号泣した。

【画像】監督に身に危険が及ぶ可能性を諭したキム・ユンソク

 1987年に起こった反政府運動を行っていたジョンチョルさんが、取り調べ中に“殺された”実際の事件を扱った本作。メガホンを取ったジュヌァン監督は、「元々のシナリオはキム・ユンソクさん演じる警察高官であるパク處長を中心に展開するものだったのですが、より事件のことを語りたいと考えるようになり、作家と話し合って事件に関わった人物たちの視点で描くシナリオに変更しました」と語る。だがそのシナリオ制作時のエピソードとして「そこで完成した物をキム・ユンソクさんに見せたところ、『やめておけ、身に危険が及ぶから』と止められました」と政治スキャンダルを暴く危うさを諭されたことがあったと述懐する。

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 かくいうユンソクもジョンチョルさんへの特別な思いがあり、出演を快諾したという経緯がある。「実はパク・ジョンチョルさんと同じ高校の出身で、わたしが2年後輩なんです。わたし自身当時は大学生であったため共感できる部分が多く、シナリオ最終稿に満足しました」と述べるユンソク。同作にはソル・ギョングカン・ドンウォンユ・ヘジンなど韓国映画の主演級の俳優が多数出演しているが、一様に映画の持つメッセージに共感して出演を快諾したとのこと。それだけ韓国に住む者にとっては、格別な思いが込められた作品といえる。実際にジュヌァン監督も自分の撮った作品であるにもかかわらず、隣に座っている人が涙しているのでもらい泣きしてしまったとも。

 一方、1990年生まれのキム・テリは当時のことを情報でしか知るしかない。「当時のことを漠然とは知っていましたが、デモで世の中が変わるものだろうかと、それまでは懐疑的な気持ちでした。監督から『役ではなく、テリ自身がロウソク集会や今の時代をどう思う』という課題を出され、実際に集会に出かけてみたのですが、ある瞬間、自分の中に潜んでいた希望を感じたのです。国民の声で世の中を変えることができると信じながら演じることができました」と当時の学生の心情を理解して撮影に臨んだという。韓国民主化抗争のターニングポイントの年となった1987年。パク・クネ前大統領が「チェ・スンシルの国政干渉」スキャンダルによりこれに抗議するロウソク集会が起こり、弾劾裁判にかけられて罷免された2017年に、『1987』が劇場公開される意義は大きい。映画『1987(原題)』は12月27日より韓国公開。(取材・文:土田真樹)

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