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トランプを大統領にした男を描いたドキュメンタリー映画

(左から)モーガン・ペーム、ディラン・バンク、ダニエル・ディマウロ、ダン・ラザー、映像博物館のディレクターのデヴィッド・シュワルツ
(左から)モーガン・ペーム、ディラン・バンク、ダニエル・ディマウロ、ダン・ラザー、映像博物館のディレクターのデヴィッド・シュワルツ

 ドナルド・トランプを大統領選で勝たせた男ロジャー・ストーンを描いたドキュメンタリー映画『困った時のロジャー・ストーン』(Netflixで配信中)について、CBSの元アンカーマン、ダン・ラザーと3人の共同監督モーガン・ペームディラン・バンクダニエル・ディマウロらが、10月19日(現地時間)ニューヨークの映像博物館で開催された特別試写の上映後Q&Aで語った。

【動画】『困った時のロジャー・ストーン』

 Netflixが手掛けた本作は、ロナルド・レーガンリチャード・ニクソンアメリカ元大統領の選挙活動に従事し、その後、トランプの政治顧問として大統領選に大きな影響を及ぼしたロジャーが、長年にわたっていかに大統領候補の腹心となり、卑劣な戦略でアメリカの政治に影響を及ぼしてきたかを、彼の個性的な性格と共に描いた作品だ。

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 ロジャーを題材にしたきっかけについて、ペーム監督は「僕らがロジャーに興味を持ったのは、ここ40年間(ウォーターゲート事件から現在まで)の政治の低下や堕落を語る上で、マリファナを吸い、ボディービルをやり、さらにダンディーなスウィンガー(性的に自由奔放な人)でもある彼の口から語る方が、政治に興味を持っていない人でも、耳を傾けてくれると思ったからだ」と話す。

 2011年から撮影していたという今作だが、なんと撮影初日には驚くべきことが起きていたそうで、「ロジャーは『トランプが大統領になるのは避けられない、彼には全てのもの(大統領の器)が備わっているし、トランプが今後すべき唯一のことは、大統領に立候補することだけだ』とすでに言っていたんだ。当時の僕らは『ロジャーは完全に血迷ったか』と思ったけど、結局、今作を通して、彼の先見の明を証明したことになったね」とペーム監督は明かす。

 では、ロジャーは、いかにして大統領選でトランプの腹心になったのか。ディマウロ監督は「彼はトランプとは、共通の師匠である弁護士ロイ・コーンを介して出会ったんだ。ロイは、ニューヨークのギャングの弁護士だったり、赤狩り時代にはジョセフ・マッカーシーの補佐官だったりした人物でね。ロジャーは、レーガン元大統領の選挙活動をしていた際にロイと出会い、ロイがトランプを紹介して二人は意気投合したんだ」と説明し、ロジャーがその時すでにトランプに大統領になるよう勧めていたことも付け加えた。

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 ロジャーの人物像についてバンク監督は、「もし、ロジャーが誰かと論争し、その誰かがロジャーのことを『お前は悪魔だ!』と言い放たなかったら、彼にとってその日は、しくじった日だと考えるような人物だ」と語る。続けて、「だからロジャーにとっては、今作でわれわれリベラル(民主党支持者)なフィルムメイカーとやり合うのは興味深いアイデアだったのかもしれない」と自身の見解を述べた。

 一方、本作に本人役で登場するダンは「最初に彼に会ったのがいつかははっきりと覚えていないが、リチャード・ニクソンが大統領だった1970年代に会った後、通りすがりに笑顔で会釈するくらいの関係だったと思うよ。ただ、いつもぼくの周りで何か事件が起きると、それがまるでロジャーの功績(彼が情報を流したか)のように扱われることが多かったんだ。ロジャーは、自分が敵だと思った相手には、効果的なダメージを与えるのが得意だからね」と語った。今作にもそんなロジャーのダーティートリックは描かれている。

 最後に、今、アメリカはさまざまな問題を抱えて困難な時期にあるが、この状況を打破するにはどうすべきかと問われると、ダンは「(どんな状況下でも)理想と心を失わないことだ。善人か悪人かわかりにくい今日だが、それぞれの人が持つ理想で判断することができると思う。政治が機能せず、無秩序な状態の時でも、国は存在し、われわれに頭脳、心、勇気がある限りは、きっと大丈夫なはずだ」と締め、観客席からは拍手が湧いた。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

トランプ大統領の誕生を描いた男『困った時のロジャー・ストーン』5月12日配信決定! » 動画の詳細
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