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旅客機を一機お買い上げ!クリント・イーストウッド監督ケタハズレのリアル演出

映画『ハドソン川の奇跡』を撮影中のクリント・イーストウッド監督
映画『ハドソン川の奇跡』を撮影中のクリント・イーストウッド監督 - (C) 2016 Warner Bros. All Rights Reserved

 名優にして名監督のクリント・イーストウッドが制御不能に陥った旅客機をハドソン川に不時着させた機長のその後を描いた『ハドソン川の奇跡』を監督し、そのスケールの大きな撮影手法について明かした。(取材・文:下村麻美)

川に不時着する旅客機がリアルすぎて怖い 映画『ハドソン川の奇跡』予告編

■飽くなきリアルへのこだわり!実際の救助船とクルーを撮影で使用

 ロサンゼルスにあるワーナー・ブラザーズスタジオに86歳とは思えない姿勢のよさで現れたイーストウッド監督は、新作映画『ハドソン川の奇跡』の演出についてこの映画で重要だったのは、計画性だったと語る。

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 この映画では、2009年に起きたUSエアウェイズ1549便が、離陸後まもなくバードアタックを受けたためにエンジンが故障し、制御不能に陥った後ニューヨークのハドソン川に不時着した事故を描いている。ハドソン川に着水したエアバス機ももちろんだが乗客を救助するために次々と救助船が駆けつけたことを全世界がニュース映像などで固唾(かたず)を呑んで見守っていただけに、同じ状況を再現するための映像のリアリティーは不可欠だった。

 イースト・ウッド監督は、まず撮影のため本物の旅客機(エアバス機)を購入したというから驚きだ。加えて救助ボートは実際救助に使用されたものを使いオペレーターも同じスタッフを動員するという徹底したリアルへのこだわりを明かした。

 「飛行機を再びハドソン川に出現させ、すべてのボートが救助をするためにそこに集まって来るところをどう描くのか、計画を立てることがこの映画で一番大変なことだった。この映画では、すべてがどのようになるのかを予測しないといけなかった」

 救助ボートが着水した飛行機に集まってくるシーンは飛行機がそこにあったと仮定して場所を空けて撮りその後、飛行機だけを別に撮りビジュアルエフェクトを施したという。

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■今でも忘れられないリアル不時着体験

クリント・イーストウッド監督
21歳のとき飛行機の不時着を体験したクリント・イーストウッド監督(C) 2016 Warner Bros. All Rights Reserved

 実はイーストウッド監督は、軍隊に所属していた21歳のとき、自身が搭乗していた軍用機が海上に不時着したことがあるという。「パイロットは、海に不時着するために素晴らしい仕事をした。でも、僕らは岸まで行き着くのに、海をなんとか泳がないといけなかったけどね。僕が今日でさえ、とてもはっきりと覚えているのは、時速100マイル以上で飛行機が海の上を着陸しようと進んでいる時にどう感じたかということだよ。サリーの飛行機のスピードがどれくらいだったか忘れてしまったけど」

 当時の強烈な記憶が本作の演出に生かされたとイーストウッド監督は明かす。

 「どのように見えるべきかを、自分が感じたことを思い出してみた。それがどういうふうに見え、どのように水上を動くかということにを自分が感じたそのままを正確に描くようにかなり努力したんだ」

 イーストウッド監督が肌で感じたリアルがそのまま映像に反映された『ハドソン川の奇跡』は、飛行機が海に沈みかけるというありえない状況があまりにリアルだ。そんな状況から生還した人々の命が輝いて見えるのは、この悲惨な状況の演出が効いているからなのだと後でわかる。

映画『ハドソン川の奇跡』は9月24日より新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国公開

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