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【最終回】映画作りの大変さを知った、暑い夏の日の巻

まほの別府ブルーバード劇場日記

 90歳の岡村照館長と出会って、もうすぐ6回目の夏がやってきます。別府ブルーバード劇場をお手伝いしようと思いたち、東京での仕事をやめて、フリーランスになって二拠点での生活が始まった劇場との日々。本当にいろんなことがありましたが、まさか映画祭をしたり、短編映画を作ったり、「こんなことができたらいいなぁ」と思っていたことがすべて叶うなんて、思ってもいませんでした。今回、最終回となる別府ブルーバード劇場日記では、別府を舞台にした短編プロジェクトの楽しい活動をお伝えしてワクワクとともにさよならしたいと思います!(森田真帆

別府を舞台にした短編プロジェクト

ブルーバード劇場
炎天下の中、さまざまな場所を巡りました。

 別府ブルーバード劇場でしか観られない映画があればいいなと思い始動した、別府温泉を舞台にした短編映画の企画「別府短編映画プロジェクト 〇〇湯」。第1弾の担当監督となる白石和彌監督作品の撮影より一足早く、夏も間近となった別府で、第2弾の撮影が動き出しました。第2弾は、7月中旬にロケハン、8月9日からの3日間で撮影を終えるという異例のスピードで進められました。

 実は本作、夏休みを利用して別府の子供たちと一緒に映画を作ろうという企画でもあるのです。ふだん、映画制作に触れたことのない子供たちが初めて体験する映画作り。夏休みの体験を通して、何かを感じてもらえたらいいなぁ、と考えたプロジェクトで、別府の子供たちが出演する、思い出いっぱいの一本になりそうです。

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炎天下でのロケハンに気絶寸前

ブルーバード劇場
なぜか全員おそろいコーデのロケハンチーム。中央が土屋哲彦監督。

 7月中旬にひとり別府にやってきたのは、本作のメガホンを取る土屋哲彦監督。思わず、え? 監督さんですよね? と聞きたくなっちゃうほどイケメンな監督に、別府ブルーバード劇場の岡村照館長もニヤニヤが止まりません。ロケハンでは、すでにできているプロットをもとに、別府の街を巡りながら、あーでもないこーでもないとそのシーンにぴったりの場所を探していきます。

 たとえば、「男2人が並んで一息つく」という設定では、二人の男性がただ座り込む場所を探し続ける。商店街中を歩き回り、ぴったりの場所を探します。そこにカメラをちゃんと正面におくことができるか、キャストの影がどんなふうに出るかなど、チェックするところもさまざま。そのすべてがクリアになって、「ここで撮ろう!」ということが決まります。そして、その場所の責任者さんに連絡して、撮影の許可を取る。地味だけど、大事な撮影前の準備です。ちなみにこの日は別府でも珍しいほどの真夏日。夏の炎天下を歩いているうちに、森田は暑さに完璧にノックアウト

映画を作るって大変!

ブルーバード劇場
別府ブルーバード劇場、これからも頑張ります!

 今回、土屋監督に同行した人は皆、口をそろえて「映画作りっていうのは、本当に大変なんやなぁ」と話していました。プロット作りから始まり、ワンシーンごとにぴったりの場所を探していく大変さ。場所が決まると、今度はその場所で撮影をして、次の撮影場所まで移動する時間など細かいスケジュールを決めていきます。撮影が始まる前には、ある程度のキャスティングを決めなければなりません。同時に衣装を決め、役者同士のセリフ合わせの時間も必要です。低予算の短編映画では美術担当がいない代わりに、セットに必要な小道具などはみんなで考えてそろえておかなければなりません。

 初めて映画作りを体験するのは、子供たちだけではなく、大人たちも同様。だから、慣れないことに四苦八苦しながらも、心の底から面白さを感じていました。映画作りは、楽しいけれど、大変なのです。長編映画は何倍ものスタッフとキャストがいて、短編映画よりもっとタフな撮影現場になります。夜遅くまで撮影になっても、時間がなくても、映画を作り続けるって本当にすごい。だからこそ、緊急事態宣言下で上映がキャンセルになってしまったり、お客さんが一気に減ってしまったりということは、とてもつらいんだろうなと。岡村照館長はいつも「映画館は映画のゆりかご」と言います。大変な思いの末に生まれた大切な作品を、別府ブルーバード劇場は大事に多くの人へ届けていきたいと思います。

 森田真帆による、別府ブルーバード劇場日記は今回でおしまいです。人生は冒険と航海! 森田の冒険はまだまだ続きます! いつか別府ブルーバード劇場でお会いできるのを楽しみにしています!

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