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映画たて・よこ・ななめ見!

ウーマン村本、黒塗り騒動に物申す!

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 ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は、まさに今の日本に必要な映画! ウーマンラッシュアワーも真剣モードになった、人種暴動の一夜を描いた衝撃の実話『デトロイト』をななめ見しちゃいます!(取材・文:シネマトゥデイ編集部・入倉功一)

『デトロイト』 1967年にアメリカ・デトロイトで起きた暴動を題材にした実録映画。暴動の一夜、あるモーテルで、白人警察たちが黒人の宿泊客に行った自白強要の様子を、アカデミー賞監督キャスリン・ビグローが描く。恐ろしい差別の現実をドキュメンタリータッチで映し出した映像は、すさまじい緊張感。

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ウーマン人種差別を実感

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人種暴動の一夜、黒人たちに対する信じられない警官たちの行動を描く。

中川:なかなかハードな映画やったな~!

村本:映画を観ていてまず感じるのが、アメリカでは、黒人のやること全てに「黒人が」って主語につけられるんやなってこと。「黒人が白人の女と寝てやがる」「黒人がコーヒー持ってきてくれたぜ」とか、全て黒人が、黒人が、黒人がって。黒人というだけでいかに損をさせられているのか。それがしっかり伝わってきた。ここまでレッテル貼りされなアカンなんて!

中川:黒人差別の歴史って、俺は奴隷として扱われたってことを何となく知っとるくらいやったから、あそこまでヒドいんかって、ビックリしたわ。

村本:去年アカデミー賞をとった『ムーンライト』(作品賞・助演男優賞など受賞)なんかもそうやけど、日本から見たら、「何か黒人の人が賞とったなやな」ってくらいの認識だった。でもこの映画を観た後だと、その意味合いがぜんぜん変わってくるわ。「黒人が、黒人が、黒人が……」って聞いてきた全てのことが、頭のなかで意味を成していく気がしたな。この映画で描かれている差別はまだ終わってなくて、50年たっても黒人が賞を取ってすげえぜって言うてる時点で、まだまだ平等じゃない。これは変えていかんと。

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白人警官クラウスを演じたウィル・ポールターの熱演は必見!

中川:白人がってだけやなくて、警察官がヒドイ目に合わせてくるってところにもびっくり。警官なんて一番まっとうであってほしいって思うやん。ホンマに誰も助けてくれんし、これは怖いで。

村本:いろいろと考えさせられたし、ホンマに観れてよかった! どんなことも楽しく学べるのが一番素晴らしいこと。そういう意味でも最高の一本やと思う。これからオリンピックもあるし、ぜひ親御さんたちが、小学生、中学生、高校生、もっと小さい子供たちと一緒に観て、家で話し合うべきだと思います! 以上! 今日はありがとうございました!

中川:ちょっと、終わらせんの早い! 早い! 

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中川、意識がガラリと変わった

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真剣な表情で話し合うウーマンラッシュアワー

中川:実は俺、映画の最初の方は、黒人の人たちが怖く見えたのよ。差別の背景も、俺は何となくでしか知らんから、警官に石まで投げて、この人らすごいなって。イメージ的には、最初は黒人の方が悪く見えてまうくらい。

村本:ピンとこなかった?

中川:そんなに白人のこと嫌うんか? って。でも映画が進んでいくごとに、そうなるのは当たり前やなって思うようになったわ。もっと、過去に何があってこんな状況になったのか。自分で調べて知りたいなって。

村本:それって一番大事なことかもわからんで。何でこうなるんだろう? っていう疑問に対して、自分で向き合って葛藤せんと、「知らない」っていう一言しかでてこないからな。

中川:俺なんかも、興味のあることやったら熱くなれるけど、知らないことは知らへんし、わかったふりしてケガすんのも嫌やってなるからなぁ。

村本、たたくだけの風潮に疑問

村本:黒人差別といえば、日本ではまさに最近、浜田(雅功)さんの黒塗りメイク騒動があったけど、この映画は、まさに来るべくして日本に来た映画やと思う! 今この映画を流さずして、いつ流すんだっていうぐらい、まさに抜群のタイミング。あの問題、俺はただたたくだけでは、根本的な問題は解決せぇへんと思っているから。

中川:どういうことよ。

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たたくだけの世間の風潮に疑問を呈した村本

村本:その場しのぎで枝葉を切り落とすだけの行為やと思うから。もっと、(問題の根本となる)土があって幹があるってことを考えんと、またどんどん枝葉が生えてくる。だいたい日本人って、親戚に、友達に、周りに黒人いないことが多い。そんななかで両極端な意見を言うたって、ぶつかり合うだけで不毛やん? こういう映画を観て、まずは、土からちゃんと作っていかなあかんと思うで。

中川:俺は番組も見てたから、モノマネしてるだけで何もあかんことない、言い過ぎちゃうの? って極端に思ってたけど、この映画を観ると、それでも嫌なんやっていう人がいるんやなっていうことは、わかった気がする。

村本:けど単純に「かわいそう」っていうのも怖い。ある哲学者の言葉に、「同情」は「軽蔑」を含んでいるっていうのがあんねん。芸人って自分のことをかわいそうって言って見下されて笑いをとることがあるけど「かわいそう」って思うだけやと、それがもっと見下すことにもつながってしまうかもしれん。だから、なぜこうなったんだろう、なぜ差別をする人間がいるんやろうってことを、冷静に見ることが解決になってくるんちゃうかな。

中川:その場の感情で終わらず、大本を変えていかなあかんと。

村本:そう! どこかに「あんなことするならお笑いなんてなくていい」みたいな記事があったけど、そんな枝葉を切るような真似をするヒマがあったら、お前が小学校なり中学校なり行って、そういう話を子供に教えたれよって思うわ。ホンマ、あれ書いた奴にはこの連載を読んでほしい!

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他人事じゃない!デトロイトはどこにでも

村本:ゴールデン・グローブ賞で、セクハラに抗議する女優さんたちが黒いドレスで授賞式に出席していたやん? ああいう女性差別に対抗するエネルギーも、こうして積み重なったものがあったからなんやろうな。『デトロイト』のテーマって、肌の色や血統、国籍、それに性別、全てに置き換えることができると思う。

中川:場所が変われば、同じようなことがあると。

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まるで当時に戻ったかのような暴動の描写も見どころ

村本:例えば沖縄。前に、辺野古・高江で基地反対の座り込みをしている人たちが、お金をもらってるプロ市民やってネットでたたかれていたから、自分の目で確認しようと思って会いにいったのよ。でもそこには、高江の自然守りたくて座ってる人、安倍政権を批判する人、身内が殺されて本当にアメリカを憎んでるおじいちゃん、その思いを利用する人とか、いろんな思いが集まっている。けど沖縄の外だと、それがみんなプロ市民だってひとくくりにされてしまう。

中川:どこにいっても、そういう立場になってしまうっていう怖さはあるのかもな。

村本:新宿でヘイトスピーチのデモに遭遇したときも、100人くらい警官がおって、デモをする人たち、それに抗議する人たちがやり合ってて、もう大変なことになっててものすごいエネルギーやった。それで正直、「俺はこういうことを笑いに変えようとしてるのか」って恐怖を覚えてしまった。どっちが正しいとかじゃなくて、何かを守ろうとすると、激しい何かが起きる場っていうのはどこにでもあんねん。やから、『デトロイト』は俺らの隣で起こってる。「所変われば、どこでもそこはデトロイト」や!

映画『デトロイト』は1月26日よりTOHOシネマズ シャンテほかで全国公開
(C) 2017 SHEPARD DOG, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

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ウーマンラッシュアワー・プロフィール

2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。先ごろ行われた「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。

村本大輔 1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。

村本大輔ツイッター

中川パラダイス 1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。

中川パラダイスツイッター

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