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ゲームキャラまで起用!ルイ・ヴィトン時代の顔【第7回ルイ・ヴィトンその2】

映画に見る憧れのブランド

ニコラ・ジェスキエール
華やかなルイ・ヴィトン・ファミリー(2016-17冬)の面々、中央の男性が現ディレクターのニコラ・ジェスキエール - Photo by Bertrand Rindoff Petroff / Getty Image

 こんにちは、映画で美活する映画美容ライターの此花さくやです。

 フランス皇帝ナポレオン3世の皇后ウジェニー・ド・モンティジョに重用され、世界的なトランクメーカーに成長。今や世界No.1の売り上げを誇るラグジュアリーブランド、ルイ・ヴィトン。前回のルイ・ヴィトンにまつわる7つのトリビアに続き、今回は、そんなルイ・ヴィトンの前アーティスティック・ディレクターのマーク・ジェイコブスと現ディレクターのニコラ・ジェスキエールが愛した、時代の顔5人をご紹介したいと思います。

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1:90年代に一世風靡したアンチ・スーパーモデル、ケイト・モス

ケイト・モス
Photo by Terry O'Neill / Hulton Archive / Getty Images

 1987年にモエ・ヘネシーに買収されるまで、ルイ・ヴィトンはファミリービジネスとしてはまれに見るグローバルな企業に成長していました。そして、1997年にはプレタポルテ(既製服)を初めて立ち上げ、当時グランジの教祖として大人気だったデザイナー、マーク・ジェイコブスをアーティスティック・ディレクターに指名します。

 マークが愛したミューズケイト・モスは、1993年、カルバン・クラインの広告に彗星のごとく現れました。モデルにしては167cmと小柄でガリガリに痩せ、個性的な顔立ちをした彼女はヘロイン中毒者のように見えるヘロイン・シックと評され、1980年代から続いたグラマラスなスーパーモデルの黄金期に終止符をうちました。ケイトはルイ・ヴィトンを始め多くのブランドの広告塔を務めましたが、2005年にコカインを吸引している写真が流出し大きなスキャンダルとなりました。

ケイト・モス
物議を醸した喫煙ウォーク! - Photo by Stephane Cardinale / Corbis via Getty Images

 一時は露出が減った時期もありましたが、ファッション業界のサポートでモデルとして活躍し続けたケイト。ルイ・ヴィトンの2011-2012秋冬コレクションでは、エッジィな淑女を演じタバコをくゆらせてキャットウォークを歩きました。けれども、その姿は世界中から賛否両論の声を巻き起こすことに! 健康ブームが席巻する昨今のファッション業界で、あえてタバコを持ち出した演出が物議を醸したからです。こういったパンクな気品が漂うケイト・モスの魅力こそが、“伝統”と“革新”を誇りとするルイ・ヴィトンの世界観を体現しているのかもしれません。

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2:ガーリー・カルチャーを牽引するマルチな才女、ソフィア・コッポラ

ソフィア・コッポラ
Photo by Francois Durand / Getty Images

 「僕がソフィアに会ったのは1992年。当時僕がやっていたことに共通しているような、特別な何かを彼女に感じたんだ。出会ってひと目でソフィアに恋したよ」と語ったマーク(icon-icon.comより)。以来、2人はずっと親しい友人であるとか。

 映画界の巨匠、フランシス・フォード・コッポラ監督の長女として生まれたソフィア・コッポラは、子供の頃、父コッポラ監督の代表作である『ゴッドファーザー』シリーズに出演しますが、演技力が酷評され女優としては大成しませんでした。しかし、シャネルのカール・ラガーフェルドの元でアシスタントを務めるなど、写真家、モデル、デザイナーとしてファッションアイコン的な存在に。その後、監督作『ヴァージン・スーサイズ』(1999)や『マリー・アントワネット』(2006)がヒットし、繊細な女の子の心理、ファッション、音楽を表現する卓越したストーリー・テラーとしてガーリー・カルチャーをけん引しました。特に、2003年公開の『ロスト・イン・トランスレーション』では、アカデミー賞脚本賞ゴールデングローブ賞脚本賞セザール賞外国映画賞など数々の賞を総ナメ。

ソフィア・コッポラ
マーク・ジェイコブスとの仲の良さがうかがえるショット! - Photo by Michel Dufour / WireImage / Getty Images

 2009年、フランスのアニエールにあるルイ・ヴィトンのアトリエでソフィアがカスタムメイドのバッグを作ろうとしたのがきっかけでSCバッグ PMが誕生。スピーディやキーポルを基に、取り外しのきくショルダーストラップがついたバッグは、ハンドキャリーにもショルダーバッグにも使え、大成功しました。

 少女、成熟した女性、母親、クリエイター、ビジネスウーマン……ひとつの“顔”にこだわらずマルチに活躍しながらも、シックなスタイルを貫くソフィア。すべての女性に存在する側面をもっているからこそ、ルイ・ヴィトンに愛されるのではないでしょうか?

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3:50年以上も君臨し続けるフランスの至宝、カトリーヌ・ドヌーヴ

カトリーヌ・ドヌーヴ
Photo by Pascal Le Segretain / Getty Images

 半世紀以上も世界に咲き誇る大輪の花、カトリーヌ・ドヌーヴ。フレンチモードと密接な関係にある彼女は、マーク・ジェイコブスを始め多くのファッションデザイナーと親交があり、ファッションショーでは常に最前列に座る大御所。そんなカトリーヌはプライベートでもルイ・ヴィトンを愛しており、1960年代からルイ・ヴィトンのトランクやスピーディを持って旅に出かける姿がカメラにおさめられています。

 2007年のルイ・ヴィトンの広告に登場したカトリーヌは当時64歳。映画『シェルブールの雨傘』(1963)の清純な美少女、『昼顔』(1967)の冷たい妖艶さ、『終電車』(1980)の円熟味が増した官能美、『8人の女たち』(2002)のコミカルな美貌、そして『ルージュの手紙』(2017)の貫禄たっぷりなエレガンス……。コメディエンヌからファム・ファタールまで多様な女性を演じてきた名女優ドヌーヴをほかにおいて、ルイ・ヴィトンの歴史を総括する“顔”は他にはいません

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4:世界で最も影響力のある10代のセレブ、ジェイデン・スミス

 マーク・ジェイコブスの退任後、2014年からは元バレンシアガのクリエイティブ・ディレクター、ニコラ・ジェスキエールがウィメンズ・コレクション アーティスティック・ディレクターに就任しました。21世紀を代表するデザイナーになると予想されるニコラが2016年春夏の女性用の広告に選んだのが、女性用のスカートをはいたジェイデンです。

 8歳の時に父ウィル・スミスと共演した映画『幸せのちから』(2006)でデビューしたジェイデンは就任時、18歳。母は女優のジェイダ・ピンケット=スミス、妹のウィロウ・スミスも歌手や女優としても活動しており、2016年にはシャネルのアンバサダーに選ばれるという、兄妹ともに世界で最も影響力のあるティーンと評されています。

ウィル・スミス一家
多方面で活躍中のウィル・スミス・ファミリー - Photo by Jason LaVeris / FilmMagic / Getty Images

 デビュー作ではMTVムービー・アワードのブレイクスルー演技賞を受賞し、その後も、キアヌ・リーヴス主演のSF作『地球が静止する日』(2008)や、ラルフ・マッチオ主演の大ヒット作『ベスト・キッド』(1984)のリメイク版に主演するなど、着実に俳優のキャリアを築き高い演技力を見せつけました。

 父ウィルがプロデュース・主演したSF作『アフター・アース』(2013)では、最低映画を決めるラジー賞を親子で受賞してしまいましたが、今年の11月には3年の月日をかけて製作したデビューアルバム『SYRE』を発表し、ミュージシャンとしてのキャリアもスタート。さらに、環境にやさしい紙で出来たペットボトルを販売するグリーンビジネス・JUST Waterも起業し、SNSを駆使して環境問題を啓蒙するなど多方面で大活躍。TIME誌が掲げる「今年最も影響力のあるティーンを30人」にも選ばれたばかりです。

 そんなジェイデンが、女性用のスカートをはいたルイ・ヴィトンの広告は世界中から注目を集め、ジェンダー・フルイディティ(流動的な性別)という新しい価値観をルイ・ヴィトンの物語に刻みました。

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5:人間以外のアイコンがついに登場!

 ルイ・ヴィトンの2016年春夏コレクションのキャンペーンに登場したのは『ファイナルファンタジーXIII』の主人公ライトニング! 英テレグラフ紙(電子版)によると、アーティスティック・ディレクターのニコラ・ジェスキエールはライトニング起用の理由を「ライトニングは、SNSとコミュニケーションが切れ目なく生活に浸透している現代社会を代表するグローバルなヒロインだから」と説明。ルイ・ヴィトンの先進性は他のブランドから一線を画していますよね!

 トランクメーカーとして1821年の創業以来、継承され続ける職人のストーリー。そして、そこにコンテンポラリーな感覚を紡ぐニコラ・ジェスキエール。最先端の時代の顔伝統が交錯して織りなすルイ・ヴィトンの物語に、私たちは様々な女性の破片を見出します。ときに淑女で、ときに反抗的。強く繊細で、多彩な“顔”をもつ女性……。

 「女性には100人、1000人の顔がある。ルイ・ヴィトンのキャンペーンに登場する女性はみんなそれぞれ違う。女性は、(広告に登場する)シャルロット・ゲンスブール、ジェニファー・コネリー、デルフィーヌ・アルノーといった女性たちの部分部分をそれぞれ持ち合わせているように、私の目には見えるのです」。ーーニコラ・ジェスキエール(icon-icon.comより)

 
【参考】
ルイ・ヴィトン公式サイト
icon-icon
TIME
The Telegraph
InStyle

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此花さくやプロフィール

此花

 「映画で美活する」映画美容ライター/MAMEW骨筋メイク(R)公認アドバイザー。洋画好きが高じて高3のときに渡米。1999年NYファッション工科大学(F.I.T)でファッションと関連業界の国際貿易とマーケティング学科を卒業。卒業後はシャネルや資生堂アメリカなどでメイク製品のマーケティングに携わる。2007年の出産を機にビジネス翻訳家・美容ライターとして活動開始。執筆実績に扶桑社「女子SPA!」「メディアジーン」「cafeglobe」、小学館「美レンジャー」、コンデナスト・ジャパン「VOGUE GIRL」など。海外セレブのファッション・メイク分析が生きがいで、映画のファッションやメイクHow Toを発信中!

 
<これまでの記事一覧>
●永遠のスタイルを生み出した「ココ・シャネル」女性に与えた6つの自由【第1回シャネル】
●マリリン・モンローからジョニデ娘まで!シャネル N°5 と9人のアイコン【第2回シャネルその2】
●エルメスの名品4つと映画~バーキンやケリーに受け継がれる伝統【第3回エルメス】
●ディオールのファッション革命~パリをよみがえらせた男【第4回ディオール】
●映画以上に激動の人生!帝王イヴ・サンローランが遺した8つの偉業【第5回イヴ・サンローラン】
●世界売り上げNo.1!ルイ・ヴィトンにまつわる7つのトリビア【第6回ルイ・ヴィトン】

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