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マリリン・モンローからジョニデ娘まで!シャネル N°5 と9人のアイコン【映画に見る憧れのブランド~第2回シャネルその2】

映画に見る憧れのブランド

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 こんにちは、映画で美活する映画美容ライターの此花さくやです。シャネルと言えば香水の N°5 を思い浮かべる人も多いでしょう。驚くべきことに、1921年の発売以来 N°5 の香りは変わっていないのです。今回は、長い歴史をもつシャネル N°5 の代表的な9人のアイコンと彼らの映画からココ・シャネルの世界観を覗いてみましょう!

1:世界恐慌と第二次世界大戦の狭間で、ココ・シャネル(1937年)

ココ・シャネル
右はココ・シャネル本人。-Walter Sanders / The LIFE Picture Collection / ゲッティイメージズ

 1937年、ハーパーズ バザー誌のシャネル N°5 の広告に登場したのはココ・シャネル本人。贅を凝らした装いは前年まで続いた世界恐慌の傷跡を払拭するかのよう。また、遠くを見据えるシャネルの姿は第二次世界大戦の影が忍び寄る時代に、男性に依存せず自分の人生を切り開く女性を体現しています。当時は香水の広告は存在しなかったといわれており、シャネルがメディアでも時代を先駆けていたことが伺えます。

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2:ブレイク寸前のマリリン・モンロー(1952年)

マリリン・モンロー
裸にシャネルのみまとったというマリリン・モンローEd Feingersh (C) Michael Ochs Archives / ゲッティイメージズ

 1952年の LIFE 誌のインタビューでマリリン・モンローが「寝るときは裸にシャネル N°5 だけ」と語ったという逸話はあまりにも有名ですが、マリリンが正式な広告塔になったのは彼女の死後、2013年の広告だったのです。先述の逸話が生まれた時のマリリンは26歳で、映画界で本格的にブレイクする前。1950年の『アスファルト・ジャングル』や『イヴの総て』の脇役で注目を集め、翌年には第23回アカデミー賞授賞式のプレゼンターを務めた頃でした。その後、1953年の『ナイアガラ』『紳士は金髪がお好き』『百万長者と結婚する方法』に主演し、セックスシンボルとして名を馳せました。そして、N°5 はグラマラスな香水の代名詞となったのです。

3: N°5 に若い風を吹き込んだ、アリ・マッグロー(1966年)

アリ・マッグロー
映画『ある愛の詩』で一世を風靡したアリ・マッグロー- Keystone-France / Gamma-Keystone via / ゲッティイメージズ

 マリリンの後、50年代の N°5 の広告には女優のスーザン・パーカーが登場。「明るくてハッピー、保守的な上流階級の完璧な女性」を表現していました。そのせいか、60年代半ば頃には「お金持ちの叔母さんがつける香水」というイメージが定着してしまった N°5 。そんなイメージを打ち破り若い女性にアピールしようと起用されたのが、モデルとして活躍していたアリ・マッグローでした。

 アリは N°5 の広告塔に起用された後に、1970年の映画『ある愛の詩』で見せた東海岸のプレッピーファッションがブームとなり一躍大スターに。その後、『ゲッタウェイ』(1972年)で共演したスティーヴ・マックィーンと結婚して(1978年に離婚)60年代~70年代を代表する女優に成長。アリの登用で若い女性からの支持を得た N°5 は香水業界で快進撃を続けます。

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4:フレンチエレガンスのシンボル、カトリーヌ・ドヌーヴ(1972年)

カトリーヌ・ドヌーヴ
John Springer Collection / ゲッティイメージズ

 『シェルブールの雨傘』(1963年)で清純派女優として人気を博したカトリーヌ・ドヌーヴ。翌年には『反撥』(1964年)で狂気の女を、『昼顔』(1967年)では妖艶な若妻を演じ、演技の幅を広げるとともにフレンチエレガンスを代表する顔となりました。スローガンもキャッチコピーもない1972年の広告は、真のエレガンスは言葉を必要としないことを世界に知らしめました。しかし、杉本香七氏の著書「シャネルの戦略」によると、1975年頃から N°5 の流通やイメージ戦略が失敗し、” N°5 は時代遅れで二流の香水“というイメージが定着してしまったのだとか。そこで、シャネルはドラッグストアやディスカウントストアから N°5 を撤去し販売チャネルを見直すことにより、1980年代にはラグジュアリーなブランドイメージを回復することに成功。カトリーヌのエレガントな広告もこの成功の要因となりました。

5:社会進出を果たした女性像、キャロル・ブーケ(1986年)

キャロル・ブーケ
Dick Loek / Toronto Star via / ゲッティイメージズ

 ラグジュアリーなブランドイメージを取り戻した N°5 が80年代から90年代にかけてアイコンに選んだのがファッションモデル/女優のキャロル・ブーケ『007/ユア・アイズ・オンリー』(1981年)のボンドガール役が有名ですが、フランスを中心に50本以上の映画に出演しており、1989年の『美しすぎて』ではセザール賞主演女優賞も受賞している実力派です。キャロルが登場した N°5 の広告はカラフルな色使いが斬新。真っ赤なシャネルスーツにマトラッセを抱えたキャリア風の女性が、自らスポーツカーを運転して男性に会いに行くというリドリー・スコットが監督したCMも話題に。80年代に社会進出した新しい女性像を反映しています。  

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6:恋よりも夢を選ぶ女、二コール・キッドマン(2004年)

二コール・キッドマン
Venturell i / WireImage / ゲッティイメージズ

 二コール・キッドマンが N°5 の広告塔に起用された頃、彼女はトム・クルーズとの離婚を経て、演技派女優としてめきめきと頭角を現していました。ミュージカル映画『ムーラン・ルージュ』(2001年)でゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞、続く『めぐりあう時間たち』(2003年)でもゴールデン・グローブ賞主演女優賞とアカデミー主演女優賞をW受賞するなど、各国の賞を総なめ。そして、『ムーラン・ルージュ』の監督、バズ・ラーマン監督が2分という破格の長さのシャネル N°5 のCMを作り、”恋よりも自分の夢を選んだ“女性の姿が話題を呼びました。このCMで「誰にも私の夢を壊させないわ。誰にも」とニコールが放ったセリフは、ココ・シャネルの生き様が投影されているかのよう!

7:等身大のフレンチビューティー、オドレイ・トトゥ(2009年)

オドレイ・トトゥ
American tabloids is absolutely forbidden / ゲッティイメージズ

 『アメリ』(2001年)で映画スターの仲間入りを果たしたオドレイ・トトゥは、2006年に『ダ・ヴィンチ・コード』でハリウッドに進出。『ココ・アヴァン・シャネル』(2009年)で彼女が演じたのは、強さのなかにいじらしさを見せる新しい解釈のココ・シャネル。チャーミングなフレンチビューティーが人気のオドレイは、グラマラスなイメージの N°5 に等身大の美しさを添え、N°5 はさらに幅広い層の女性のファンを獲得したのです。  

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8:初の男性、ブラッド・ピット(2012年)

ブラッド・ピット
rancis Dean / Corbis via / ゲッティイメージズ

 時代の先端を行く女性を起用し続けた N°5 が2012年に選んだのは、なんとブラッド・ピット。当時のブラッドは私生活ではアンジェリーナ・ジョリーと婚約。『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008年)と『マネーボール』(2011年)でアカデミー主演男優賞ノミネートされるなど演技力も評価されていました。カール・ラガーフェルドはブラッドの起用について「商業的な理由を超えたもの。シャネルの新しいステートメントだ」と語りましたが、商業的にもこのキャンペーンは大成功。クリスマス時期にはプレゼント用の N°5 だけではなく、シャネルの男性用フレグランスを買い求める男性客が激増したそう。また、N°5 の広告に登場したブラッドは主役ではなく、あくまで N°5 を纏う女性の相手役という位置づけがシャネルらしいですよね。

9:デジタル世代の台頭、リリー=ローズ・デップ(2016年)

ココ・シャネル
Jun Sato / WireImage / ゲッティイメージズ

 若者をターゲットにした香水 N°5 ロー のミューズに17歳で抜擢されたリリー=ローズ・デップ。俳優ジョニー・デップと、シャネルの香水「COCO」やシャネルバッグのミューズを務めたヴァネッサ・パラディの愛娘です。 N°5 ロー のキャンペーンフィルムは「光であり影、謎であり答え、永遠であり一瞬、アーティストでありミューズである」という、複雑な側面をもつ現代の若い女性を映し出しています。「私の性的指向は流動的」とインタビューで答えLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)運動に参加するなど、私生活から自身のセクシュアリティまでSNSで積極的に発信するリリー。ジェンダー、セクシュアリティ、ダイバーシティが重要な“今”を象徴する存在です。現在公開中の『ザ・ダンサー』ではモダンバレエの始祖イザドラ・ダンカンを演じ、その圧倒的な存在感が光っています。

 単一の花の香りに化学合成品と様々な花の香料を加えて、香水に革命を起こした N°5 。オリジナルの香りを守り続けながらも、社会や男性に媚びない時代をリードする新しい顔をアイコンとして登用してきました。それはまさにココ・シャネルの生き様そのもの。「わたしの成功の秘密。それは“独立心”、“非社交的なこと”、“反抗すること”。これらはアリアドーネの糸のように、わたしを人生の困難から抜け出させてくれた」ココ・シャネル。

【参考】

INSIDE CHANEL

STYLE CASTER

BAZAAR

MARKETINEG

東洋経済「シャネルの戦略 究極のラグジュアリーブランドに見る技術経営」 長沢伸也/杉本香七

徳間書店「ココ・シャネル99の言葉」 酒田真美

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此花さくやプロフィール

此花

 「映画で美活する」映画美容ライター/MAMEW骨筋メイク(R)公認アドバイザー。洋画好きが高じて高3のときに渡米。1999年NYファッション工科大学(F.I.T)でファッションと関連業界の国際貿易とマーケティング学科を卒業。卒業後はシャネルや資生堂アメリカなどでメイク製品のマーケティングに携わる。2007年の出産を機にビジネス翻訳家・美容ライターとして活動開始。執筆実績に扶桑社「女子SPA!」「メディアジーン」「cafeglobe」、小学館「美レンジャー」、コンデナスト・ジャパン「VOGUE GIRL」など。海外セレブのファッション・メイク分析が生きがいで、映画のファッションやメイクHow Toを発信中!

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