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「大奥」“サイコパス”治済に仲間由紀恵を起用した理由 底知れぬ闇を段階を経て表現

10月31日放送・第15回より仲間由紀恵演じる一橋治済
10月31日放送・第15回より仲間由紀恵演じる一橋治済 - (C)NHK

 よしながふみの人気漫画に基づくドラマ「大奥 Season2」(NHK総合、毎週火曜夜10時~)でとりわけ注目を浴びているのが、仲間由紀恵演じる一橋治済(ひとつばし・はるさだ)。原作と同様、己の手を一切汚さずに邪魔者を次々と排除していく恐ろしいキャラクターとして描かれ、SNSでは仲間の怪演に「サイコパス」と戦慄の声が上がっている。本シリーズの制作統括を務める藤並英樹が、仲間のキャスティングの理由、治済のキャラクターづくりの裏側を語った。

【画像】「大奥」衝撃の第15回

 3代将軍・徳川家光の時代から幕末・大政奉還にいたるまで、男女が逆転した江戸パラレルワールドを描いた原作漫画に基づく本シリーズ。Season2では吉宗の遺志を継ぎ、若き医師たちが赤面疱瘡撲滅に向けて立ち上がる「医療編」、女将軍をはじめとした幕府の人々が江戸城無血開城のために奔走した「幕末編」が展開する。脚本を、Season1に続き森下佳子が務める。

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 仲間演じる治済は「医療編」の初回から登場。8代将軍・徳川吉宗の三女・宗尹の子で一橋家当主(吉宗の孫)。一見柔らかい雰囲気だがその実は冷淡で非道な権力の亡者。田沼意次(松下奈緒)や松平定信(安達祐実)に気付かれぬよう謀略を巡らし、我が子・家斉(中村蒼)を将軍に。家斉が将軍となってからは自身が実権を握り、欲望のおもむくまま暴走。先週放送の第14話では、治済が10代将軍・徳川家治(高田夏帆)や本草学者・平賀源内(鈴木杏)らの死や、家斉の幼い子供たちの不審死に関与していることが示唆された。人が苦しむさまを見て“退屈しのぎ”をする治済、それを柔らかな笑みと凄みをたたえて表現する仲間の怪演に、SNSでは「怖すぎる」「邪悪すぎる」「迫力凄い」「完全にホラー」と戦慄の声が上がった。

 定信は治済について「人の皮を被った化け物」と第14話で話していたが、なぜ同役に仲間をキャスティングしたのか。藤並と仲間は2022年に放送された連続テレビ小説第106作「ちむどんどん」でも組んでおり、同作では仲間が4人の子供たちを育てる心優しい母親を好演していた。

 「そもそも、僕は仲間由紀恵さんが俳優として大好きで『ちむどんどん』でもご一緒しまして、彼女のお芝居の奥深さや、キャラクターの表現がすごく達者で、面白い方だなと思っているので、治済はある種難しい役なんですけれども、チーフ演出の大原拓と大河ドラマ『功名が辻』(2006年・仲間が山内一豊の妻・千代役で主演)でもご一緒した縁もあって、スタッフと信頼関係も築きながらやっていただけるんじゃないかと思いました。仲間さんは別作品(『明日の約束』2017年・カンテレ・フジテレビ系)でもサイコパス的な役をやられていますが、『ちむどんどん』の優しいお母さん像とはまた百八十度違う、恐怖というか冷徹さみたいなもの、内面が分からない闇のようなものを表現していただく。『ちむどんどん』とのギャップも含めて、きっと面白くなるんじゃないかと。仲間さんのお芝居が達者なことは十分わかっていましたので、そういった観点からオファーいたしました」

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 仲間にオファーした際、本人は「仲間さんがこういった役をやられることはあまりないですし、時代劇も久しぶりだったこともあり、すごく楽しみにしていらっしゃる様子で“やります”とおっしゃっていただけました」と快諾したという。撮影が始まると、あるシーンで「原作以上のキャラクターになる」と予感したとも話す。

 「実際にお芝居を拝見すると、原作とはまた違った、仲間さんが持っていらっしゃる美しさや、優しさに加え、底知れぬ闇みたいなものを表現してくださった。チーフ演出の大原をはじめ各演出陣と話しながら構築していったんですけれど、撮影早々に“きっと、うまくいくんじゃないか。原作以上のキャラクターになるんじゃないか”と思った次第です。例えば14話の治済、幼い家斉、武女(佐藤江梨子)の回想シーン。それから、13回で治済が“これで田沼(意次)は用済みじゃの”と話すシーン。治済と武女のやり取りで治済の本性がぽろっと出てくるようなところだったので、そこが垣間みえた時に、すごく面白いなと」

 治済は非道なキャラクターではあるが、仲間自身は「ちむどんどん」のスタッフ(演出の木村隆文、プロデューサーの松田恭典)も多かったこともあって、「非常にいい雰囲気の中でお芝居を作っていけたと思う」と藤並。治済のキャラクターを創り上げる際に重要視したのが治済の怖さを、段階を経て表現していくことだったという。

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 「演出の大原を中心に話をしましたけども、治済の怖さを最初から出しすぎない。サイコパスがサイコパスのまま出るんじゃなくて、何か底知れない無のようなものを表現する。シーズン2初回の11話で治済が登場したときはお声もそうですし、優しい感じを表現しつつ、回を追うごとに徐々に大奥を“浸食”していく感じを、仲間さん、各演出と共に話し合いながら丹念に設計しながら作っていきました。特に、先週の14話では治済の怖さをお楽しみいただけたんじゃないかと思います」

 ちなみに、仲間が演じた治済はスタッフの間でも大人気だったと言い、こんなエピソードも。「治済はいわゆる“嫌な”役ではあるんですけど、仲間さんが演じられるからこそ皆が好きになって愛着が湧いていたように思います。自作ではありますが、スタッフの間で“治済Tシャツ”を作ったりもしていました(笑)。それぐらい、治済が医療編の中でトピックとなるキャラクターになりました」と“仲間治済”の反響の大きさを振り返っていた。(取材・文:編集部・石井百合子)

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