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『エブエブ』もともとはジャッキー・チェンのために書かれた脚本だった!キャスティング秘話

さまざまな顔を見せるミシェル・ヨー!
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 映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の監督コンビ“ダニエルズ”ことダニエル・クワンダニエル・シャイナートがインタビューに応じ、本作の成功の立役者といえるミシェル・ヨーキー・ホイ・クァンについて語った。

【動画】アカデミー賞最有力!『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』予告編

 アメリカで破産寸前のコインランドリーを経営している中国系移民の主人公が、ひょんなことからマルチバース(並行世界)に意識を飛ばすことができるようになり、カンフーマスターをはじめとした“別の宇宙の自分”の力を得て悪と対峙する姿を描いた本作。ハチャメチャなアクションコメディーでありながら、軸となっているのは家族の感動的なドラマであり、第95回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演女優賞(ミシェル)、助演男優賞(キー)など最多10部門11ノミネートを果たすなど高い評価を得ている。

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 本作はもともとジャッキー・チェンのために書かれた脚本だったが、女性のミシェルを主演にしようと決めたことから内容は大幅に変わった。シャイナート監督は「ミシェルはもともとの草稿は読んでいない。それは大げさで悪いものだった(笑)」と振り返る。「僕たちは母親のキャラクターに焦点を絞ろうと決め、ひと夏全てを使ってリライトした。そこでストーリーが命を持ったんだ。主人公は、今までに観たことがないような興味深いキャラクターになった。他の人が主人公を演じるなんて想像できなかったから、脚本をミシェルに見せる時は恐ろしかった。だけど彼女はすごく気に入ってくれた。まさに奇跡だよ」

 破産寸前のコインランドリーを経営し、時間に追われて日々の暮らしもままならないエヴリンという役柄は、ミシェルのパブリックイメージとはかけ離れたものだ。クワン監督は「ミシェルにすり減り、打ちのめされ、疲れ果てたアジア系移民を演じてもらったらどうなるのか、僕たちにもわからなかった。なぜなら彼女はとても堂々としていて、しっかりしていて、美しくエレガントだから」と打ち明ける。「だけど、僕たちは挑戦が好きだ。もし彼女にそうしたキャラクターを演じてほしいと頼んだらどうなるのか? 僕たちはいち観客としても、自分のタイプとは違う役柄を俳優が演じるのを観て、驚かされるのはすごく楽しいしね。だからもし、ミシェル・ヨーが(天上から)僕たちのいる地上に喜んで下りてきて、このキャラクターで僕たちと仕事をしてくれたら、とても特別なものになると思ったんだ」

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 シャイナート監督は「僕たちが好きな映画の話もしたんだ。『マルコヴィッチの穴』でのキャメロン・ディアスとか、『モンスター』でのシャーリーズ・セロンとか、女優たちが今までのイメージとはかけ離れた役柄に挑んでいる映画だ」と語る。「僕たちは、この挑戦がミシェルにとってどれだけ大変なことかはよくわかっていたつもりだ。だけど彼女は本当に才能豊かで、役を自分の物にして、役に自分自身を注ぎ込み、完全にエヴリンになっていた。彼女が僕たちの仕事を本当に簡単にしてくれたよ」

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
『エブエブ』は母と娘、妻と夫、娘と父の物語でもある

 エヴリンの心優しい夫役を務めたキーのキャスティングについても、逸話があるとクワン監督は明かす。「僕たちはとても幸運だった。どのようにして物事がうまくいくのか、というのは時にすごく面白いよ。キーの奥さんは仏教徒でとてもスピリチュアルな人なんだ。彼女はこの映画の翻訳(中国語から英語)を担当してくれたんだが、脚本を読んだら僕たちのところへ来て、『この脚本にはとても強い魂がある! そして他の強い魂たちを惹きつける! これはとても特別なものになるだろう』と言ったんだ。僕は『あ、ハイ。わかりました。そうなんですね』みたいな感じで、その時は彼女を信じなかった(笑)。だけど今は、キーはそれに引き寄せられた一つの強い魂なのだと思っている」

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 「この役柄に相応しい俳優を探している時、それはちょうどキーが俳優業に復帰した時だったんだ。僕たちが彼の関係者に連絡を取ったのと、彼が俳優業に戻ると決めたのは同じ月のことだった。タイミングが完璧すぎた。なぜなら、僕らはこの役にふさわしい人を見つけるのに苦労していて。この役に必要な全てができ、かつコアには美しい真剣さとスウィートさがある人を。キー・ホイ・クァンに会ってみればわかるけど、彼は誰よりもやる気に満ちていて、スウィートでハッピーな男なんだ(笑)。そこにはウソがない。たくさんの俳優をオーディションしたけど、この役のコアにある“楽しさ”を彼のように体現できる人はいなかった。彼はこの役に完璧な人物であり、ちょうどのタイミングで俳優業に戻ってきてくれた。これは、彼女の“魂の話”が正しかったと証明していると思う。そしてその後、映画に起こったことを見てくれ! 映画は成功し、ほかの多くの魂を引き寄せた。彼女が言っていたことは本当にパワフルだったのだと、今は思うよ。最初に言われた時は、ただ面白いなと思っただけだったけど(笑)」

 シャイナート監督が「ああ、今は彼女を恐れている。僕たちは、彼女はすごい力のある人だと思っている」と応じると、クワン監督も「その通り! 彼女は全米興行収入の数字も当てているんだ。約7,500万ドル(97億5,000万円・1ドル130円計算)なんて、絶対ムリとみんな言っていたんだけどね」と笑う。シャイナート監督は「それに、僕は死ぬと言われた」と恐ろしい予言についても真顔で明かしていた。(編集部・市川遥)

映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は公開中

映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』本予告編 » 動画の詳細
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