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『THE FIRST SLAM DUNK』井上雄彦との情熱あふれる制作過程 演出・宮原直樹が語る

制作陣の情熱が注ぎ込まれた『THE FIRST SLAM DUNK』
制作陣の情熱が注ぎ込まれた『THE FIRST SLAM DUNK』 - (C) I.T.PLANNING,INC. (C) 2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

 大ヒット中のアニメーション映画『THE FIRST SLAM DUNK』で、演出を担当した宮原直樹が、完成までの道のりを振り返りながら、監督・脚本を務めた原作者・井上雄彦との映画づくりを語った。

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 井上が「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1990年から1996年にかけて連載したバスケ漫画を原作者に、PG(ポイントガード)宮城リョータをはじめ、三井寿、流川楓、桜木花道、赤木剛憲ら湘北高校バスケ部メンバーの、王者・山王工業への挑戦を描く本作。宮原は、井上への映画化オファーのために用意した、パイロット版の制作から映画に携わった。

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 「パイロット版の内容は、原作の魅力を表すにはどんな手法をとるべきなのか、実験のような映像だったと思います。通常のアニメのような映像から、CGでアプローチしてみたものとか、手を替え品を替えという感じで、やれることは全部やりました」

 2009年からパイロット版を送りはじめ、「NO」の返事を受けながら、5年間で数本の映像を制作。「井上監督からは『(キャラクターの)存在感とその個性をしっかり出してもらいたい』といった反応をいただいていたので、その“らしさ”を出すために、必死に食らいついていった感じです。『桜木が桜木らしく立っている』とは、どういうことなのか。そのあたりから突き詰めていきました」

 制作がスタートすると、リアリティーのあるバスケシーンに取り組む日々。宮原は「通常のアニメーションは、最初に絵コンテがあってその通りに組み上がっていくというイメージ。今回も絵コンテに近いものはありましたが、最初から最後まで描かれたものは存在しませんでした。井上監督がイメージされているものを、わかりやすく現場のスタッフにおろして、作品を固めていくのが、主な自分の仕事だったかなと。ただ、多岐にわたり何でもやりましたね(笑)」と振り返る。

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 「自分が言うのもおこがましいのですが、井上監督は日々進化されている方。連載当時の原作の絵と、今回の映画の絵に対してもぜんぜん違う捉え方をされているし、キャラクターに対しても我々が連載当時に受け取っていた印象とはかなり違うアプローチをされていた。そこをいかに映画で再現できるかという点が目標でした」

 井上監督が指示を言語化できない時は「これ以上はないというほど説得力のある絵」が提示される。「最後はやっぱり絵の力というか。それを受けてこちらも『よっしゃ。それに合わせてみよう』という感じでキャッチボールをしていた感覚です。井上監督がご自分でポーズをとったり、ボールを持ったビデオを撮って送っていただくこともありました。そのままキャラクターに反映されたわけではありませんが、参考にさせていただいて作ることもあったと思います」

 会心のカットには、情熱あふれる反応が返ってくる。「オンラインのやり取りも多かったので、カットに対して井上監督がコメントを書けるような仕組みを作ったんです。良い時は『最高!』『最の高!』とか、時には『Amazing!』『Terrific!』と書いてあったり。最大限の賛辞で喜んでいただきました。とても物腰の柔らかい方なんですが、喜んでいる時や、賞賛をいただく時には、すごく情熱的な反応をいただけるんです」

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井上監督は「日々進化されている方」演出の宮原直樹

 相当な年月を経て完成した本作は、初登場から8週連続でランキングのトップを独走し、興行収入100億円に達するヒットを記録。「我々としては、原作の魅力をうまく再現できているのか、お客さんの反応が少し心配ではありましたが、伝わってくる数字やネット上の皆さんの反響を目にしても、すごく喜んでいただいているようで、やったぞ! という感じはしております」と笑みを浮かべる。

 「物語の持つ力や、普遍的なもの。個性豊かなメンバーがプラスマイナスを補い合って、大きな相手に向かっていく。どの世代にとっても、そして、どの時代でも魅力的であり続ける原作があり、その魅力をしっかりと映画に落とし込めた。その結果として、こうした反応をいただけたことはうれしい限りです」

 かなりの時間をかけた企画でもあった本作。「これを許してくれた会社をはじめ、プロデューサー陣には本当に感謝したいです」という宮原は、「今回のノウハウを生かして、いろんなことができるんじゃないかという思いはあります」と今後の自身の活動への意欲をのぞかせ「実は公開されてから、井上監督とお会いできていないので、まずは『お疲れ様です。』と言うところから、はじめたいなと思っています」と語った。(編集部・入倉功一)

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