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清野菜名『キングダム』羌カイ役で「新しい自分に出会えた」 四六時中、役に没頭したハードな撮影

清野菜名
清野菜名 - 写真:高野広美

 原泰久の漫画を山崎賢人(※崎はたつさきが正式表記)主演で実写映画化した2019年のヒット作の続編『キングダム2 遥かなる大地へ』(7月15日公開)。同作に新キャストとして参加し、原作ファンの間でも絶大な人気を誇る剣士・羌カイ(※カイはやまいだれに鬼)を演じた清野菜名が、人間離れした剣術を操る同役を演じるために過ごした過酷な日々を振り返った。いまだかつてないハードなトレーニングを経て、「完成した作品を観ると、自分でもあまり見たことのない表情があり、『私ってこういう顔するんだ』という驚きや発見もありました」と女優としての自信につながったことを明かしている。

【画像】清野菜名撮りおろしカット<8枚>

 続編では、春秋戦国時代の中国で、秦の玉座をめぐる争いから半年後、大将軍を目指す主人公・信(山崎)が、隣国・魏との戦いで初陣を飾り、5人の歩兵による“伍”という小隊を組んだ羌カイらと共に、壮絶な戦場で死線を潜り抜けることになる。清野が演じる羌カイは、暗殺者として育てられてきた凄腕の剣士で、ある目的のために参戦しているが、誰もその素性は知らず、無口で小柄かつ頭巾で顔を隠した奇抜な姿などから、当初は浮いた存在として扱われる。演技力と身体能力の双方が求められるこの難役について、清野は「とても人気のあるキャラクターなので、ワクワクもしましたが、原作ファンの方に認めていただけるのかという不安もあり、プレッシャーの方が大きかったです」と、出演オファーを受けた際の心境を語る。

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『キングダム2 遥かなる大地へ』より清野演じる羌カイ (C) 原泰久/集英社 (C) 2022映画「キングダム」製作委員会

 本作はコロナ禍での撮影だったこともあり、準備期間を含めると長期間にわたって作品と役に向き合うこととなった。その日々は、「羌カイが背負っている悲しい過去は、すぐに表現できるものではなく、毎日少しでも意識していないと抜けるのが怖くて。なので四六時中、羌カイのことを考えて一緒に過去を背負いながら過ごしているような感じでした」というほど没頭した。また、羌カイは言葉数や感情表現が少なく、「顔が頭巾で隠れていて、目しか出ていないシーンも多いので、その眼差し、目の表情だけで殺気や悲しみを出すことは常に意識していました」ともいう。

 アクション面においては、クランクイン前に3か月に及ぶトレーニングを実施。「まるで合宿みたいでした(笑)」とハードなトレーニングを振り返る。

 「ここまで準備期間をとってアクションに臨むのは初めてでした。今までの作品では事前にアクションの稽古ができる場合も、初日から既に作られている立ち回りの型を覚えて、撮影に挑むことが多かったんです。ですが、それでは羌カイの持つ人間離れした身体能力は表現できないので、体の基礎作りや筋トレから入り、それは撮影が終わるまで毎回行っていました。羌カイのアクションは、華麗に舞っているように見える動きが多いので、ダンス練習で行うような“アイソレーション”という、首だけを動かしたり、腰を8の字に動かす基礎運動も行いました。ジャッキー・チェンの映画の特訓シーンで見るような、両手の上に置いた物を落とさないように体を動かしたり、剣先がぶれないようにしながら剣を8の字に動かしたり。地味ですが、今までやったことがない動きで、その繊細さをなかなか出せずに苦労しましたが、すごく体に効いていることが実感できました」

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羌カイのアクションシーン

 入念な基礎作りを経て臨んだアクションの型の練習については「中国武術がまだない時代とのことで、アクション部の方と一緒に1からオリジナルの動きを作り上げていきました」と清野が言うように、羌カイの動きは独創性の高いものとなったが、目指したのは「原作にもあるとおり、『バケモノだ』と言われるほどの人間とは思えない動き」だった。

 「ちょっと不気味にも見せたかったですし、一回見ただけではわからない『今どんな動きした?』というような驚きも感じていただきたくて。パンチや蹴りのアクションはテンポが単調になりがちですが、今回はどうリズムを崩しても早く見えるように、緩急も大事にしつつ、皆さんと模索しながら作り上げていきました」

 羌カイの技の中で最も特徴的なのは、極限の集中状態のような中で「トーンタンタン」という独特のリズムを刻み、舞うように相手をなぎ倒していく暗殺術“巫舞”。「初めはどう実写に落とし込むのか、戸惑いや不安もありました。でも佐藤信介監督とアクション監督の下村勇二さんは、漫画的表現をうまく実写として表現することに長けていらっしゃるので、そこはもう両監督を信じてお任せし、素直に演じさせていただきました」と、監督やスタッフに全幅の信頼をおいて挑んだ。

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 「ワイヤーを使ってこれほど激しく動き回るのも初めてのことだったので、自分のやれるアクションの幅が広がった気もしました」との手応えも得たそうだが、以前には「アクションが得意ということでしか呼ばれていないのではないかと思い込んでしまい、コンプレックスに感じてしまった時期もありました」と吐露する。

左から“伍”の面々を演じる濱津隆之、山崎賢人、三浦貴大、岡山天音、清野菜名

 確かに活躍のきっかけは、『TOKYO TRIBE』(2014)や『東京無国籍少女』(2015)などで見せたアクションだったかもしれないが、その後、倉本聰脚本の連ドラ「やすらぎの郷」(2017)、「やすらぎの刻~道」(2019)や連続テレビ小説「半分、青い。」(2018)などに出演し、近年はラブコメ「婚姻届に判を捺しただけですが」(2021)など主演も続く。今後、8月26日公開の映画『異動辞令は音楽隊!』、そして松坂桃李とダブル主演を務める実写映画『耳をすませば』の公開も10月に控えており、その幅広い活躍ぶりは今や誰もが認めるところ。そうした過程も経て、『キングダム2』では大きな自信を得たようだ。

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 「これまでに経験したことのないアクションに出会って、また新たな発見がありました。もう自分はここまでなのかなと思った時期もありましたが、そこを超えられた気がしていて。やはりアクションって面白いですし、もっとやりたいなと。動けなくなるまで続けたいという気持ちにもなりました。それに、ここまでキャラクターの感情とアクションがしっかり融合された役も初めてで。完成品を見ると、自分でもあまり見たことのない表情があり、『わたしってこういう顔するんだ』という驚きや発見もありました。新しい自分に出会えた気がします」

 運命的なものさえ感じさせるハマリ役を得た清野は、「震えるぐらいかっこよく、興奮できる作品になっていて、出演できて涙が出そうなくらい良かったです」と熱く語り、作品自体の出来栄えにも自信を窺わせていた。(取材・文:天本伸一郎)

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