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『流浪の月』に幻のラストシーン!広瀬すず、まさかのカットに驚き

李相日監督と広瀬すず
李相日監督と広瀬すず

 女優の広瀬すずが15日、都内・新宿バルト9で行われた『流浪の月』(公開中)トークショーに李相日監督と共に来場し、幻のラストシーンについて語り合った。

【動画】トークショーの様子(ノーカット)

 2020年本屋大賞で大賞を受賞した凪良ゆうの小説を実写化した本作は、10歳のときに誘拐事件の被害女児として世間に名を知られることになった家内更紗(広瀬)と、事件の加害者とされた当時19歳の大学生・佐伯文(松坂桃李)が15年後、思わぬ再会を果たすさまが描かれる。

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 広瀬とは『怒り』以来6年ぶりのタッグとなる李監督は「僕の映画ではけっこうリハーサルをやるんですけど、(広瀬と松坂)桃李くんと小説の読み合わせをしたんだよね。更紗の子ども時代も二人で一緒に(小説で)読み合わせをやってもらって。(子ども時代は子役が演じたため)そこは(広瀬が)体験できないんで。小説の情報量でおさらいしてもらった」と語ると、「その時に上手になったなと思ったんですよね」としみじみ。

 それと同時に「この更紗という役をそう簡単につかめていいのかな」という心配がわき起こったという李監督。「そんなに簡単に理解できるキャラクターでもないから、すず自身が暗闇にいかないと駄目なんじゃないかと。だから僕の言ったことがわけ分からないことがあったでしょ?」と尋ねると、広瀬も「はい、難しいニュアンスだなと思いました」と今回の役に悩んだことを吐露。

 だが終盤で、寝ている文(松坂)を見つめている更紗の姿が「聖母に見えた」という李監督。「(観客の)この映画の感想に、すずちゃんが大人になったというフレーズがあったんだけど、それは性的なシーンがというよりも、本当の意味で大人になったんじゃないかという気がしたんです。ある種の母性が見えたというのが、すずちゃんが大人になったというところじゃないかな。すべてを受け入れるというのがね」と指摘。「あのシーンがわたしのクランクアップだったじゃないですか。だからいろんなものを含めた2か月半を、あの寝顔で思い出すというか」と返した広瀬も、「寝てる時って自分ですら自分をコントロールできないじゃないですか。その姿を見ている時は、信頼してもらっているというか。人間としての喜びをわたし自身が感じたというのは覚えていて。いろんなものが全部詰まった感じでした」と振り返った。

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 李監督によると、本作の映像を全部つなげると4時間近くなったそうで、それだけに多くのシーンがカットされたという。カットされたシーンの中でも、特に広瀬が印象に残ったのが、電車の中で撮影したという”幻のラストシーン”だった。「初号を観た時に『あれ、ラストは?』と思ってビックリしました。でも気持ち的には(幻のラストがなくても)変わらなかったですけど」と笑う広瀬に対して、李監督は「解説すると、二人で電車で向き合ってシュークリームを食べる旅立ちのシーンがあったんです。それは満たされているというか、いい表情だったなと思いつつ、でもひと言で言うと余韻がなかった」とその理由を解説。

 さらに「二人のああいう姿は、それぞれのお客さんが自分の映像として観て欲しい姿だと、撮った後に気付いた。電車を借りて、撮影するのも大変だったのに」と笑いながらも、「ということでゴッソリ落としました。それはちゃんと特典に入れますんで」と観客に約束すると、会場からは大きな拍手が。広瀬も「楽しみにしています」と笑顔を見せた。

 そして李監督からは、本作の原作者である凪良ゆう、そして『怒り』の原作者である吉田修一からの感想で、両者とも「広瀬さんがすばらしかった」という感想が寄せられたことを紹介。その流れで「二度あることは三度あるんですかね?」と広瀬に再タッグの可能性を尋ねると、「いいんですか? ぜひ!」とキッパリ返した広瀬。

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 この日は、6月19日に誕生日を迎える広瀬に李監督からサプライズで花束をプレゼント。「李監督からお祝いしてもらえるなんてうれしい」と笑顔を見せた広瀬は、「去年、今年は隠すことなく、悩んでいることをテレビでお話していましたけど、この『流浪の月』に参加したことで、自分の中で大きな何かが生まれて。頑張ろうと思えた」と語ると、「24歳になっても頑張りたいなというか。李監督と出会ったのが16とか17の時なので。またご一緒できるように努力していかないといけないなと。(本作の)クランクアップの時からあらためて思っています」と決意を新たにした。(取材・文:壬生智裕)

広瀬すず&李相日監督登壇!映画『流浪の月』トークショー » 動画の詳細
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