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三谷幸喜“大泉頼朝”に絶大な信頼「日本中に嫌われても君が好き」

第25回「天が望んだ男」より源頼朝(大泉洋)
第25回「天が望んだ男」より源頼朝(大泉洋) - (C)NHK

 現在放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(NHK総合ほか)の第25回「天が望んだ男」では、大泉洋演じる源頼朝が馬上から崩れ落ちるラストシーンが衝撃的だった。脚本の三谷幸喜が、死が迫る頼朝の描き方や、演じる大泉の魅力、さらには「撮影現場には行かない」という自身のポリシーについて語った(※ネタバレあり。第25回の詳細に振れています)。

頼朝に衝撃展開!「天が望んだ男」25回場面写真

頼朝の最期をどう描くか

 1160年に起きた平治の乱により、伊豆へ流刑になった源頼朝はその後、北条政子(小池栄子)との結婚を機に北条家の助けを得て数々の修羅場を乗り越え、ついに平家を滅亡に追いやり、天下を統一。征夷大将軍に任命され鎌倉幕府を開いた。そんな頼朝も、第25回「天が望んだ男」では、人生の終焉に向かう姿が描かれた。三谷は「頼朝の死には、いろいろな説がありますが、これだけ長い時間頼朝と寄り添い、彼のつらさや孤独は理解しているので、アクシデントや、誰かに殺されるといったことではなく、ちゃんと死なせてあげたいと考えるようになりました」と語る。

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 第25話のラスト、頼朝が落馬した後、頼朝を取り巻く人々が異変を感じ取ったような表情を見せるシーンが続く。ここにも三谷のこだわりがある。「高校生のときに大河ドラマの『草燃える』(1979)を観ていて、頼朝が馬から落ちるシーンはありました。そのとき頼朝を取り巻く人たちは、何を思っていたのだろうかということが知りたいと思っていたんです。それを今回脚本に書きました」

 三谷自身は「それぞれ一瞬顔が浮かぶイメージだった」そうで、「(演出を担当した)吉田(照幸)さんが僕の思いをより強調して、一人一人の生活を深く描いてくださった。僕が40年前に観たかったシーンはこれだったんだ」と映像を見て腑に落ちたという。

大泉洋だからこそ人間味あふれる孤独な頼朝に

北条義時(小栗旬)、北条政子(小池栄子)と

 本作で描かれる頼朝は「冷酷な政治家」という一般的なイメージを踏襲しながらも喜怒哀楽をハッキリみせるなど、非常に多面的で人間臭い。そんな頼朝を約半年に渡って演じてきたのが大泉だ。大河「真田丸」(2016)や映画『清須会議』(2013)、舞台「大地」(2020)など、これまで三谷作品には何度も登場しているお馴染みの俳優だ。三谷は「大泉洋という俳優が源頼朝を演じることになったので、このような頼朝像ができた。僕は大泉洋という俳優の魅力や力量は分かっているので、彼だったら僕が望む頼朝像を演じてくれるだろうという信頼はありました」と大泉への信頼を協調。

 さらに三谷は「彼だからこそ、こんなにも人間味あふれる、リアルで孤独な頼朝になった。ほかの俳優さんではこんな頼朝にはならなかったと思う」と続け、「第25話で巴御前(秋元才加)と頼朝が対面するシーンも『自然と涙が出てきた』と聞きました。僕もあんなに頼朝が泣くとは思わなかった。しっかりと頼朝を演じてきたからこその涙だったと思います」と賛辞は続いた。

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 「頼朝をドラマのメインとして描ける喜びは脚本家冥利に尽きます」としみじみ語った三谷。なぜそこまで頼朝に思い入れがあるのか。「あれだけドラマチックな人生でありつつ、女性好きであることを含めて、聖人君子ではないマイナスな面を抱えている。誰が書いても魅力的な人物になると昔から思っていました」

撮影現場に行かない理由

三谷幸喜

 絶大なる三谷の信頼のもと、頼朝の非情な面やマイナスな面を思う存分演じた大泉。SNSでは度々「全部大泉のせい」がトレンド入りするなど、反響は大きかった。三谷は「日本中に嫌われているようなので、『日本中に嫌われても僕は君のことが好きだよ』と連絡したら『あなたのせいだ!』って言われました」と大泉とのやり取りを笑顔で報告。

 こうしてキャストとコミュニケーションをとる一方で、脚本家の立場で参加している場合、撮影現場に足を運ぶことや、打ち上げなどに参加することはないという三谷。「多くの脚本家がそうだと思いますよ」と前置きすると「脚本家って物語の最初の部分を作る人間なので、どこかキャラクターの正解を持っていると思われている。そんな人間が現場に行くと、全能の神みたいな扱いになるじゃないですか。物語は現場でスタッフ、キャストが試行錯誤しながら作ることで面白いものができると思うので、やっぱり行くべきではないと思うんです」と持論を展開する。

 物語は中間地点まで来た。三谷は、まだまだラストがどうなるかはわからないというが、「主人公の人生が終わるときが、大河ドラマの最終回であるのが理想だと思う」と述べると「全体的な大枠のプロットはありますが、僕は登場人物が“その瞬間”に見つけていくものを書いていくタイプ。今回の話が僕の理想にたどり着けるかどうかは、今の段階では分からないですね」と現在の心境を語っていた。(取材・文:磯部正和)

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