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「テニスの王子様」原作者・許斐剛、創作意欲の根源は「ファンを喜ばせたい」という思い:インタビュー

映画『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』より
映画『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』より - (C) 許斐 剛/集英社 (C) 新生劇場版テニスの王子様製作委員会

 連載開始から22年、テレビアニメ20周年を目前に控えた許斐剛による「テニスの王子様」。その最新映画『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』が9月3日に公開される。原作者の許斐が製作総指揮に加え、なんと新規劇中歌全ての作詞作曲を担当した。許斐は漫画家という枠を超えた活躍でたびたび世間を驚かせてきたが、そうした取り組みに力を尽くすのも「すべては、この漫画を読んでもらいたいから」だと語る。その先には常に、ファンを喜ばせたいという強い思いがある。

【動画】「テニプリ」原作者・許斐剛がイベント登場!

 「テニスの王子様」は1999年より「週刊少年ジャンプ」で連載がスタート、現在は「ジャンプSQ.」にて続編「新テニスの王子様」が連載中で、累計発行部数は6,000万部を突破する人気漫画。アニメは2001年に放送が開始され、今年10月に20周年を迎える。今回の映画『リョーマ!』は3DCGアニメーション映画となり、許斐が製作総指揮を務め、新規劇中歌全ての作詞作曲を手がけた。

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許斐剛
「テニスの王子様」の作者・許斐剛

 これまでに関連楽曲の制作やワンマンライブを行うなど、漫画以外のコンテンツでもファンを楽しませてきた許斐。漫画家としての活躍にとどまらないアプローチで大きな話題を呼ぶことも、全ては作品のため。

 「例えば、自分の写真集をコミックス特典にしたことがあるのですが、作者の写真集ってなんだと叩かれるわけです。ですが、『写真集なんか出して』という人がそれを開くと、主人公と作者がテニスコートで打ち合いをしていて、終わると一緒に夕日を見ているという、これまでに見たことのない世界が広がっている。最初にドーンと落としておいて、そこから持ち上げる。そういうサプライズがものすごく好きなんです」

 許斐は「話題にしてもらえたらもらえただけ勝ったなと思いますし、『観てもらえればわかる』という思いもあります」とコンテンツへの誇りをにじませる。過去に漫画ライブと称し1曲歌いながらイラストを描き上げるという試みをした際も、目新しさで関心を呼び、作品に興味を持ってもらうことができた。「そういう自分にしかできないことをいろいろやりながら、全て作品につながったらいいなと思っています」と許斐は語る。

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 「テニスの王子様」では許斐のアイデアにより、そうした一見すると突拍子のないサプライズの数々で確実にファンの心を掴み、読者以外をも取り込むほどの話題を巻き起こしてきた。そもそも100を超える個性的なキャラクターそれぞれに独自のプレースタイルを備える点で、途方もないほどの創造力だ。とどまることを知らない創作意欲の根源には、「ファンを喜ばせたい」という思いがある。

 「数ある漫画から自分の漫画を選んでくださる方がいる。人生をかけてキャラクターを応援してくださっている方もいる。それに対して、この漫画を読んで良かったなと思ってもらいたいのです。読んでいたらこんなに嬉しいことがあったとか、こんな予想外のものをもらえたとか。イベントをやる時も、期待以上のお土産や思い出を渡したい。自分のサプライズを通して、ここに時間を費やしてよかったとファンの方に思ってもらいたいのです」

 それは漫画を描き始めた頃から変わらない。常に原稿の向こう側にいる読者を見すえ、読者のリアクションを想定し、喜ぶ顔を思い浮かべて漫画づくりに向き合ってきた。「自分のために漫画を描いたことは一度もない」と断言する許斐は「そうやって作品を作っていくのがものすごく楽しい。それがだんだん度を越してきたのではないですかね」と笑う。そこには「他の漫画に負けたくない」という思いももちろんある。

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 「すごく負けず嫌いなのか、漫画だけでなく他のコンテンツでも負けたくないと思っちゃったりするんです。何でも負けたくない。この作品を読んでくれた人に、他の作品を読んでいる人よりも喜んでもらいたい。それが自分の喜びだからなのか、その辺はまだはっきりとはわかりませんが、結局他の仕事をされている方もそうではないかなと思います。例えば料理人であれば、どこの店にも負けないおいしいものを提供したいという思いが糧かもしれない。それは誰でも同じだと思います」

映画『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』
映画『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』より - (C) 許斐 剛/集英社 (C) 新生劇場版テニスの王子様製作委員会

 ファンを喜ばせるためにこだわってきたのは、「新しいこと」へのチャレンジ。映画『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』にもそれが如実に表れており、3DCGアニメであることを皮切りに、挑戦的な試みが詰め込まれた。

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 「既存のものを作っても、ふーんとそこで終わってしまう。でも、『これはあり得ないのでは?』というものでもきちんと成立させることができればアリなんです。で、それをやるかやらないか。漫画を作る時にAとBのパターンがあるとします。Bは絶対ないと編集者が言う。『Aの案でいきますよね』と。そしたら私はBをなんとかして面白く見せることができないかと考える。90%の人がAと言っているけど、Bを面白くできれば誰も作ったものがないものが出来上がる。Aは誰でも想像もできる。でもBはそうじゃない。アイデア次第で絶対にそれを実現できると思っています」

 映画づくりもその姿勢で臨み、できないことは何故できないのか、やるためにはどうしたらいいのかと、周囲の協力を得ながら実現につなげた。多くの人が関わる映画製作の現場では「無理は言えない」と、自分が主体になる漫画執筆との違いを実感したというが、「神志那(弘志)監督も『先生がやりたいことをできるだけ形にしたい』と言ってくださり、スタッフの方たちが一丸となり、面白いものが完成しました」と胸を張った。(編集部・小山美咲)

映画『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』は9月3日公開

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