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池松壮亮、「人と人なんだ」日韓キャストとスタッフとの交流秘話明かす

作品の仕上がりに満足げな池松壮亮
作品の仕上がりに満足げな池松壮亮

 俳優・池松壮亮石井裕也監督が28日、丸の内にある日本外国特派員協会で行われた映画『アジアの天使』記者会見に登壇した。撮影当時、日韓関係が良好ではない時期だったが「そんなことは関係ない。人と人なんだ」という思いでコミュニケーションを取ったという、日韓のキャストとスタッフについて誇らしげに振り返った。

【写真】池松壮亮と石井裕也監督登壇!『アジアの天使』記者会見

 『舟を編む』の石井監督がオール韓国ロケ、そして95%以上が韓国人キャスト・スタッフという状況の中で作りあげた本作は、韓国産のワカメで一獲千金を狙う主人公たち日本の家族と、両親の墓参りに向かう韓国の家族とがひょんなことから出会い、一緒に旅をしながら新しい家族の形を築いていくロードムービー。

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 池松といえば、子役時代にハリウッド映画『ラスト サムライ』(2003)に出演していたことで知られているため、そこから「本作のような海外スタッフ、キャストと組んだ作品に出演するまでに、どうして時間がかかったのか」という質問から質疑応答がスタートした。池松は「実際に僕が俳優をやろうと思ったのは20歳過ぎてからです。僕は福岡から東京に出てきて、大学に通いながら俳優をしていました。10年間は日本映画と向き合おうと決めていた中、なんとなく外に目が向き始めた時に、この映画の企画が立ち上がりました。内容を含めて、今だなと感じたんです」と本作に出演した理由について明かした。

アジアの天使
池松壮亮と石井裕也監督

 劇中では、言語と文化の壁から生まれるかみ合わない会話やコミュニケーションのすれ違いがコミカルに描き出されている。外国人記者から「これは撮影現場でもそうだったのか?」と質問された石井監督は「完璧に重なり合っていたと思います」と返答。「(本作でプロデューサーを務める映画監督の)パク・ジョンボムとは奇跡的な出会いだった。お互いに拙い英語でコミュニケーションを取るんですが、言語的な理解は6割か7割くらい。でもビールを3杯くらい飲むと120%理解できるようになり、ビールを10杯飲むと何も理解できなくなる」と笑いながらも、「そういう経験をもとに脚本を書き、それで撮影現場に臨んだら、スタッフとキャストがまた同じようなビールと愛を介したコミュニケーションを取っていた。それがすべてリンクしていたので、このような映画になった」と説明した。

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 続く池松も「おっしゃる通りだと思います。それが映画に映っていたと思いますし、その現実とのリンクを映画に落とし込もうとしていました」と監督の説明に同意。さらに「この映画の企画が始まって、準備期間、撮影にいたるまで、日本と韓国の関係が戦後最悪と言われる状況になって。日々悲しいニュースを見ました。それでも、そんなことは関係ない。人と人なんだという志の高い人が集まってくれた。毎晩一緒にご飯を食べる。言葉は通じないし、乾杯と言って笑うだけなんですけど、それでもみんなが目の前にいる人に対してコネクトすることを諦めなかった。それが本当にうまくいった」と語り、その後コロナ禍などさまざまなトラブルに見舞われても、みんながカバーし合ってよい結果につながったと振り返った。

 池松演じる本作主人公の剛は、8歳のひとり息子を連れてソウルにやってくるという設定であることから「子役の彼とはどうやって親交を深めたのか」という質問に、「彼は佐藤凌くんというんですが、ビックリするほどおしゃべりで、黙らせるのが大変だったんです」と返した池松。「でも、7歳、8歳くらいの男の子の扱いは非常に簡単でした。まず好きな女の子の話をすればいいし、ちょっと下品な話をすればいいので、つながるのは簡単でした」と明かし、会場を笑わせた。(取材・文:壬生智裕)

映画『アジアの天使』は7月2日よりテアトル新宿ほか全国公開

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