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アカデミー賞5部門ノミネート『プロミシング・ヤング・ウーマン』キャリー・マリガン覚悟を語る

『プロミシング・ヤング・ウーマン』でのキャリー・マリガン
『プロミシング・ヤング・ウーマン』でのキャリー・マリガン - (c)Universal Pictures

 第93回アカデミー賞5部門にノミネートされたフォーカス・フィーチャーズ製作の話題作『プロミシング・ヤング・ウーマン』(7月16日全国公開)について、主演のキャリー・マリガンエメラルド・フェネル監督が、Deadline主催のイベントで作品への思いを語った。

【画像】美しい…『華麗なるギャツビー』でのキャリー・マリガン

 かつて将来を嘱望された医学部の生徒だったキャシーが、ある過去の出来事によって、明るい未来が奪われ、今はコーヒーショップで働くごく平凡な生活を送っている。しかし、彼女はある思いを内に秘め、夜の街に繰り出していく。Netflixのドラマシリーズ「ザ・クラウン」でチャールズ皇太子の妻カミラ夫人を演じ、テレビシリーズ「キリング・イヴ/Killing Eve」では、製作総指揮と脚本を兼任したフェネル監督の長編映画デビュー作。

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 マリガンはアカデミー賞主演女優賞に、フェネル監督はアカデミー賞監督賞と脚本賞にノミネートされた。なんと言ってもこの映画の魅力の一つは、冒頭から最後まで全く予測できない主人公キャシーにある。キャシーは感情の起伏が激しいが、マリガンは魅力的な役柄に挑む上で最初は戸惑ったという。

 「この脚本を読んで、すぐにキャシーに共感が持てたの。きっと、観客の皆さんも同様な感覚になると願っているわ。でも実際は、そんなキャシー役をどのようにアプローチしたら良いのかわからなかった。なぜなら、このキャラクター、キャシーは一つの方向に行き過ぎてしまうと、すぐに落下してしまう綱渡りのような感覚だったから」

 しかし、キャシーというキャラクターが脚本に力強く描かれていたため、彼女の良い部分を引き出すことに専念したという。さらに彼女にとってキャシーという役柄は、現実にいそうなタイプの女性に思えたそうだ。

 そして、マリガンがその次に注力したのが映画のトーンだったという。

 「この映画はいろいろな方法で表現されていて、それぞれトーンが違うけど、核心にある(復讐という)ものは脚本兼監督のエメラルドが作り上げたもので、それはとても真実味のあるものだった」

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(c)2020 Focus Features

 そんな個性的なキャラクターのキャシーは、マリガンとフェネル監督の撮影前の会話の中から生まれていたという。

 「10年前のキャシーと親友は、どんな人物だったのか? 二人の関係はどうだったのか? など、できる限りフェネル監督との会話から(キャラクターの)基盤を作りあげていったの。ある意味、わたしがフェネル監督をとても信じることができたことで、この役が生まれたと言っても過言ではないわ。そのため、(撮影前と違って)セットに行けばキャシーを自然に演じられていた」

 二人にとってプロデューサーやほかの俳優陣が知らないことを共有していたことが重要だったそうだ。まさに監督と主演女優の信頼関係が生まれた瞬間だった。

 また、フェネル監督は脚本の執筆過程についても時間を要することを明かした。

 「まずわたしはあるアイデアが生まれると、それを頭の中で1、2年ぐらい練っていて、その間にシーンごとに何が起きるのか、合理的なストーリーを考えるの。そして多かれ少なかれ、頭の中でアイデアとして完全になるまで脚本として書き留めることはないの」と明かし、さらに本作の脚本はフェネル監督の大学時代の体験も含まれているそうで、その胸の内を脚本に組み込んだという。

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 「わたしの成長過程を通して、若い女性たちがどのように扱われてきたかを思い出していたの。その当時は悲しいことに、女性を軽視するようなことはごくありふれたことだった。そして、それから女性の怒りも考えるようになったの。いかに女性は怒ると恐ろしいかもね。女性が怒ると恐ろしいことも過去には見てきた。それから映画の冒頭シーンで、キャシーがベットで酔っ払って、服を脱いで、突然、酔いが醒め、彼女を家に連れ込んだ男性に『何をしているの』と言っている姿が思い浮かび、その瞬間から本作がどんな映画になるか自分の中で固まっていったの」

 また、本作ではセットデザインや衣装も注目すべき点だ。映画内では、キャシーが働くカラフルな珈琲店の色合い、青やピンクが目立つキャシーの衣装、キャシーが両親と暮らす家も、70~80年代のレトロな色調が家中に施されている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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