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バリアフリーの映画館「CINEMA Chupki TABATA」再開 喜びと深刻な問題

CINEMA Chupki TABATA内観
CINEMA Chupki TABATA内観

 JR山手線・田端駅北口から徒歩5分のミニシアターCINEMA Chupki TABATA(シネマ・チュプキ・タバタ)が、6月13日より営業を再開。現在、『えんとこの歌  寝たきり歌人・遠藤滋』『風の電話』『うたのはじまり』(絵字幕版)『音楽』を上映中だ。

 同シアターは、「目の不自由な人も、耳の不自由な人も、どんな人も一緒に映画を楽しめる日本初のユニバーサルシアター」として、募金によって2016年9月1日にオープン。シアターレンタルやワークショップも行っている。

 スタッフの宮城里佳さんは、休業中の期間を「4月9日より休館しておりましたが、おかげ様で2か月ぶりに営業を再開することができました。2月から少しずつご来場が減り、3月後半からはご予約のキャンセルも増え、4月は観客ゼロの回、お一人という回もしばしば。席数を減らし、清掃や換気などの対策を取って営業を続けていた状況でしたので、先の見えない休業要請に不安や戸惑いも大きかったです」と振り返る。

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 これまで想像してこなかった事態の中で「何かしなければ」と奮い立たせるきっかけとなったのが緊急支援を政府への提言という形で実施する署名運動「SAVE THE CINEMA『ミニシアターを救え!』プロジェクト」、そして映画監督の深田晃司濱口竜介らが発起人となって閉館の危機に立たされた全国のミニシアターへの支援を募るためのクラウドファンディング「ミニシアター・エイド基金」のアクションだったという。

 「助けていただくだけでなく、休業中にも自分たちでも何かできることを始めようとミニシアターの状況や、作品のことも知っていただくためにYouTubeでトークショー開催し、Zoomを使った映画の感想シェア会の開催など行いました。ご寄付を頂いたり、サポーター会員(チュプキ・サポーター・クラブ)に登録していただいたり、グッズをご購入いただいたり、金銭的な応援のほか、メッセージやお手紙もとても励みになりました。観てくださる方、必要としてくださる方がいるからこそ、絶対にこの場所をなくしてはならない。たくさんのことを気づかせていただいた日々でした」

 休業中には、配信を使った上映という新しい試みにも挑戦。オンライン映画館「仮設の映画館」では『だってしょうがないじゃない』『プリズン・サークル』の上映に参加した(6月15日より『うたのはじまり』がスタート)。同シアターでは視覚・聴覚に障害のある人も鑑賞できるよう、字幕・音声ガイドつきで上映を行なっており、配信の上映も字幕、音声ガイドつきで視聴できるシステムを整えたという。その一方で懸念点もあり「視覚障碍者や機械操作が苦手な方にとって、パソコンの画面でクレジット決済やダウンロードの操作を行うのは非常に手間暇と根気がいるということもあり、映画を観ることを身近なものとするには、すぐそばでやりとりをしながらサポートできるリアルの場所(劇場)も、鑑賞環境の選択肢のひとつとして欠かせないと感じました」と話す。

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シネマ・チュプキ・タバタ
左から宮城里佳さん、代表の平塚千穂子さん

 また再開後も深刻な状況にあり、とりわけ座席数を半数で販売せねばならない状況に頭を悩ませる。「間隔をあけ座席数10席で営業を再開しましたが、もともと20席でも経営が難しいなか、このまま10席の状態が続いていくと、劇場を維持していくのは厳しいです。あとは、これからくるかもしれない第二波、第三波がどういった影響があるのか。映画館が一度なくなれば、再び誕生するのは容易ではありません」

 再開後は、飛沫感染防止のためスタッフはマスクを着用し、受付カウンターにビニールシートを設置。シアター・ロビーでの飲食は、飲み物のみ可。来場者はマスク着用が必須となり、受付の検温で37.5度以上の場合は入場不可となる。

 なお、『うたのはじまり』は当初舞台挨拶を実施予定だったがコロナの影響を鑑み、本編上映後に毎回、河合宏樹監督齋藤陽道のビデオメッセージを上映することとなった。いずれのメッセージにも字幕をつけ、齋藤の手話には通訳を入れている。20日には『音楽』の岩井澤健治監督、『えんとこの歌 寝たきり歌人・遠藤滋』伊勢真一監督の舞台挨拶を予定している。(編集部・石井百合子)

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