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映画イラストレーター・宮崎祐治の展覧会開催 40年以上にわたる軌跡追う

国立映画アーカイブで開催中の「キネマ旬報創刊100年記念 映画イラストレーター 宮崎祐治の仕事」
国立映画アーカイブで開催中の「キネマ旬報創刊100年記念 映画イラストレーター 宮崎祐治の仕事」

 40年以上にわたって活躍してきた映画イラストレーター、宮崎祐治の軌跡をたどる初の本格的な展覧会「キネマ旬報創刊100年記念 映画イラストレーター 宮崎祐治の仕事」が都内・国立映画アーカイブでスタート。開催初日の23日に行われたプレス向け説明会で、本展の企画を担当する特定研究員の濱田尚孝氏が見どころを語った。

【写真】展覧会の様子

 1955年、東京都生まれの宮崎は、武蔵野美術大学在学中の1975年に映画誌「キネマ旬報」にイラストを投稿したのをきっかけに、雑誌企画や書籍の装丁、ポスター、カレンダーなどを手掛け、映画イラストレーターとして独自の地位を確立した。本展では、40年以上にわたる宮崎の画業から約100点の原画を中心に、未発表作10点を含む240点以上の作品が展示される。

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宮崎祐治
憧れの和田誠を描いた学生時代の投稿作品「お楽しみはこれだけだ」

 展示は「『映画街路図』とともに」「映画館の仕事」「映画地図の仕事」「映画カレンダーの仕事」「映画イラストレーション アトランダム」の5つのセクションで構成。各セクションとも見応え十分だが、とりわけ映画ファンに親しみ深いのは「映画街路図」と「映画地図」だろう。学生時代の投稿作「お楽しみはこれだけだ」から発展し「キネマ旬報」決算特別号に毎年掲載されている「映画街路図」は、昨年で43年目を迎えた。

 「『お楽しみはこれだけだ』というタイトルからわかる通り、宮崎さんの原点は(著作『お楽しみはこれからだ』を持つ)和田誠さんです。和田さんのイラストをきっかけに、映画にも興味を持ったそうです。だから本展も、宮崎さんが描いた和田さんのイラストを最初にしました。和田さんと同じペンを使うほど憧れたそうです」と濱田氏。展示ではプロデビュー作でありライフワークとなった「映画街路図」を、各年の最初のページを43年分並べて一挙掲載。「和田調から徐々に脱却して、自分らしさを確立していく過程を追うことができます」とのこと。

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宮崎祐治
ウディ・アレン、アーノルド・シュワルツェネッガー、『シザーハンズ』など立体作品も!

 そして圧巻は、独自の境地を開花させた「映画地図」シリーズ。「キネマ旬報」誌に2011年から連載された「東京映画地図」など、映画ロケ地をエリアごとに取り上げ、緻密な地図と俳優のイラストを組み合わせて映画を語る名物企画として知られる。「イラストの魅力と、温もりのある手書き文字、そしてちょっとひねりのあるコメント、それらが画面の中で一体となり、圧倒的な力を感じます」と濱田氏。

 そのほか、映画人のイラストが楽しめる「CINEMA CALENDAR」、「キネマ旬報」の「しおり」、書籍「映画ガイドブック 2000」に使われた原画などは「ぜひ仕上がりの作品と原画と並べて、見比べてほしい」と、宮崎から要望があったそう。小さいイラストも、原画ではかなりの大きさで、詳細に描かれていることがわかる。濱田氏は宮崎の作品の魅力を「映画にまつわる歴史や情報を、網羅的に1つの画面にまとめて凝縮して見せている」と話していた。

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宮崎祐治
『ダーティハリー』の大型パネル

 会場のエントランスでは『ダーティハリー』のクリント・イーストウッドを描いた大型パネルが、来場者をお出迎え。これは宮崎が本展のために書き下ろした初出作とのこと。また未発表作品として、近年取り組んでいる「寅さん」「アーノルド・シュワルツェネッガー」「『シザーハンズ』のエドワード」などの立体作品も。映画愛にあふれた宮崎の仕事に総合的に触れられる充実の展覧会となっている。(取材・文/岸田智)

展覧会「キネマ旬報創刊100年記念 映画イラストレーター 宮崎祐治の仕事」は、国立映画アーカイブ 7階展示室にて8月25日まで開催中(月曜日休室)

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