「わたしは補欠ヒロイン」木村文乃の女優力

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木村文乃 - 写真:中村嘉昭

 2006年にスクリーンデビューして以来、数々のテレビドラマや映画に出演してきた女優・木村文乃。これまでは、フェミニンで柔らかいルックスを持ちつつも、テレビドラマ「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」(2015)の刑事役や、「A LIFE~愛しき人~」(2017)の外科医アシスタントなど、強い意志を持つ媚びない佇まいがはまっている印象が強かったが、新作映画『伊藤くん A to E』(上映中)では、したたかで毒々しくありつつ、弱さもみせる人間味あふれる女性を好演。さらに『火花』(2017)では金髪の派手なルックスながら男性を優しく包み込む母性、『追憶』(2017)では身ごもった女性の不安定さを垣間見せるなど、表現の引き出しが格段に増えているような印象を受ける。彼女にとって何か大きな変化があったのだろうかーー。

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 映画『伊藤くん A to E』で木村が演じた莉桜は、ヒット作を世に送り出した脚本家でありながら、近年はスランプに陥っている崖っぷちのアラサー女性。プライドが高く、恋愛に悩む女性に対し腹の底では毒を吐きまくっているが、その実は自分が一番痛い女であるという役柄を、憎々しくかつ愛おしいという、相反する感情を湧きあがらせるキャラクターに仕上げた演技力に圧倒される。

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映画『伊藤くん A to E』では崖っぷちのアラサー脚本家に (C) 「伊藤くん A to E」製作委員会

 もともと、表現力には定評があった木村だが、その女性的なルックスとは裏腹にサバサバとした役柄を演じることが多く、恋愛よりは、職業ものなどの作品で、その存在感を示すことの方が多かったような印象だ。しかし、前述したように、近作では一人のキャラクターを非常に立体的に演じるアプローチ方法が目立つように感じられ、新作情報が入るたびに「次はどんな面をみせてくれるのだろう」とワクワクさせられる人も多いのではないか。

 こうした部分を木村本人に聞いてみると、ここ1~2年で大きな心境の変化があったという。その変化は「補欠ヒロイン」という自己分析からきているというのだ。「補欠ヒロイン」とは具体的に木村の言葉を借りると「先に検討されているヒロインの方がいても、それぞれのキャリアの変化や製作環境の変化があって、わたしに出番の機会が回ってくる」という状況のこと。

 数々の作品で主演やヒロインを務める木村の口からこうした言葉が発せられることは、非常にセンセーショナルに感じられたが、その真意を問うと、こうした状況になったとき「自分が最初にヒロインに名前が挙がるようになりたい」と考えるのではなく、「自身のできること、できないことをしっかり把握し、課題に向き合おう」とポジティブな発想になったというのだ。

 以前は、求められる表現に対して、難しいと思うことはどこか「あきらめていた」という木村だが、最近では「できないというのは、やっていないだけ」と考えるようになり、女優としてのウイークポイントに対して新たなアプローチ方法で臨むようになったという。こうした発想の転換が、自身の表現の幅を格段に広げることになったのではないだろうか。

 木村は、『伊藤くん A to E』の廣木隆一監督と、2013年にWOWOWで放送されたドラマ「ソドムの林檎~ロトを殺した娘たち」で現場を共にしている。廣木監督と言えば、無言で「もう一回」とテイクを重ねることがあり、以前はその言葉が「怖かった」と語っていたが、今回の現場では、そんな監督の言葉も期待されている証ととらえ「ありがたい」と思えるようになったと感慨深げ。実際、作り手側も、木村の中にある潜在的な表現をどんどん掘り起こしたいという気持ちに駆られるのだろう。

 まさに充実一途の木村だが、公開を迎える『伊藤くん A to E』をはじめ、1月14日からは連続ドラマ「99.9-刑事専門弁護士- SEASON II」がスタート、2月3日より映画『羊の木』が公開されるなど、2018年もさらなる飛躍が期待できる女優だ。(文・磯部正和)

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