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がん宣告された落ちぶれ俳優役で…ベテラン名脇役が一世一代の演技

ベテラン名脇役のサム・エリオット
ベテラン名脇役のサム・エリオット

 『ドラフト・デイ』や『マイレージ、マイライフ』など、名脇役として長年活躍してきたサム・エリオットが、主演を務めた新作『ザ・ヒーロー(原題) / The Hero』について、ブレット・ヘイリー監督と共に6月8日(現地時間)ニューヨークのAOL開催イベントで語った。

【写真】娘を演じたクリステン・リッター

 本作は、ウエスタン映画で名をはせ、過去の栄光にすがって生きてきた俳優のリー・ヘイデン(サム)が、がん宣告されたことで歩み始める新たな一歩をつづった作品。病名を告げるため、疎遠だった娘ルーシー(クリステン・リッター)と元妻ヴァレリー(キャサリン・ロス)に会う一方で、若い女性シャーロット(ローラ・プリポン)と出会い、新たな恋を育む。ヘイリー監督とは、映画『アイル・シー・ユー・イン・マイ・ドリームス(原題) / I’ll See You in My Dreams』に続く再タッグ。サムの名演にオスカー候補の呼び声が高いと早くも話題になっている。

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 本作で元妻を演じているキャサリンはサムの実の妻であり、また実生活でも一人娘を持つサム。重なることの多い本作は、自身の人生が反映されているのかときいてみると「ヘイリー監督は、一緒に回った前作のプロモーションで、僕の知恵や知識を借りて、脚本を書き上げてお金にしたんだと思うよ(笑)。これまで、誰かがある役柄(脇役)を僕に見立てて書いてくれたことはあったが、主役で脚本を書いてくれたのは初めてなんだ。おそらく僕の人生のきわどい部分も書いてあると思う。でも僕は、まだがんを患っていないし、大麻を一日中吸っていないし、娘との関係も良好で、妻とも33年間結婚生活を続けているよ」と冗談交じりに答えた。

The Hero
脚本も執筆したブレット・ヘイリー監督

 また、主人公のリー同様、サム自身も若い頃にはウエスタン映画で知られていたが、ウエスタンの役を演じ続けることを受け入れたのはいつなのだろうか。「『ビッグ・リボウスキ』の(カウボーイ姿の)ザ・ストレンジャー役かな。ウエスタン作品ではないけれど、この役以降、ウエスタンのキャラクターを受け入れるようになったね。決してウエスタンを楽しめなかったわけではないけど、型にはまったようにキャスティングされると、抑揚のない単調な歌手のようになり、苛立たしいと思うことはあったよ。でもそれは、自分にはもっと提供できるものがあると過信した俳優の不安なんだ」と明かした。

 一方、ヘイリー監督はリーのキャラクターについて「若い女性シャーロットと出会い、彼女がリーを新たな場所に導いてくれるけれど、リー自身は現在の自分の状況を否定しているんだ。でも、自分が生涯功労賞を受賞するイベントに行き、ウエスタン作品『ザ・ヒーロー』だけが世間に評価されていても十分だと思えるようになるんだ」と語った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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