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『ジョン・ウィック』を生んだアクション集団!チーム「87イレブン」道場に行ってきた!

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 映画『ジョン・ウィック』シリーズや『デッドプール2』など、今やハリウッドを代表するアクション映画の数々を手掛ける世界最高峰のアクションチーム87eleven Action Design (87イレブン・アクション・デザイン)だ。これまであまり知られていなかったこのアクションチームの稽古場を訪問。『ジョン・ウィック』シリーズの監督で、チームの創始者の一人でもあるチャド・スタエルスキが、チーム誕生の経緯や日本でも公開がスタートした最新作『ジョン・ウィック:パラベラム』のアクションついて語った。(取材・文・写真:吉川優子/細谷佳史)

 ロサンゼルス空港の近くにある道場に向かうと、すぐに「87イレブン」という名前の由来が判明した。そのまま、住所が8711なのだ。ベンチプレスやウェイト・トレーニング用のマシーンがところ狭しと並ぶ道場の奥では、スタエルスキが、若きスタントマンたちを厳しく指導していた。

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メインの稽古場。ここでキアヌ・リーブスやハル・ベリーが撮影前に多くのトレーニングを積んだ

 幼少期からあらゆる武道を学び、日本の柔道総本山・講道館にも何度も足を運んだというスタエルスキの醸し出す雰囲気は、華やかなヒットメイカーというより武道家そのもの。ブルース・リーのジークンドーを継承するダン・イノサントに学び、自ら教えてもいたスタエルスキは、『クロウ/飛翔伝説』(1994)でブルースの息子ブランドン・リーのスタントダブルに選ばれたことをきっかけに、スタントの道に進んだ。

 そして、キアヌ・リーヴスのスタントダブルを務めたマトリックス』(1999)で、同作のカンフーコレオグラファーにして香港アクションのマスター、ユエン・ウーピンと仕事をした経験から、「87イレブン」は生まれたという。

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日本にも武道家として幾度も訪れているチャド・スタエルスキ

 「ユエンとは1996年に会った。彼は香港と中国からスタントマンを連れてきていて、仕事のスタイルを見ることができたんだ。アメリカや西側諸国では、スタントマンといえば作品ごとに集まるもの。プロデューサーの雇ったスタントコーディネーターがスタントマンたちを雇うスタイルで、6か月ほど一緒に仕事をすると、それぞれがまた独自の道に戻っていく。でも香港では、ほとんどの場合、一人のコレオグラファーとだけ仕事をする。だからウーピンは自分のチームを持っているし、それはジャッキー・チェンもドニー・イェンも同じだ。撮影がないときは、チームメンバー同士で練習したり、競い合うんだ。そのやり方がとても効果的だと思った。だから『マトリックス』の成功後、僕とパートナーのデヴィッド・リーチ(『デッドプール2』など監督)は、僕らでもそういうものを作りたいとなったんだ」

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稽古場の壁にはやっぱりブルース・リーの写真

 こうしてスタートした「87イレブン」はその後、『エクスペンダブルズ』(2010)、『ハンガー・ゲーム』(2011)、『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013)、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)、『ジュラシック・ワールド』(2015)といった多くのヒット作を担当。さらにスタエルスキは『ジョン・ウィック』(2015)で監督デビュー、リーチは『アトミック・ブロンド』(2017)で監督デビューし、今や二人は、映画監督としても引っ張りだこのデュオに成長。「87イレブン」は現在も実に多くのアクション映画にスタッフを送り込んでおり、ハリウッドに欠かせない存在となっている。

 現在の成功についてスタエルスキは、全てはスタントマンを育てることから始まったと振り返る。「スタントマンを育てていたら、その中にスタントコーディネーターになりたい人たちが10人いることがわかったり、時々、その中に監督の能力を持った人を見つけることもある。僕らは常に彼らの能力を伸ばすことで、業界に、素晴らしいスタントマンやスタントダブル、アクションコレオグラファーやスタントコーディネーター、願わくばセカンド・ユニット(アクション)監督を提供するんだ。そして稀に監督もね」

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現場でアクションの動きを自ら示すスタエルスキ

 『ジョン・ウィック』シリーズでは、監督として、自分が思い描くアクションを自由に演出できるようになったスタエルスキ。作品ごとに新しいことに挑戦しようとしているのではと尋ねると、意外にも「そうではない」という返事が戻ってきた。

 「誰もが銃撃戦やナイフファイト、オートバイのチェイスは観たことがある。映画ではよく、ナイフを投げたら一発で敵の頭に命中したりするよね。でも僕らは、『投げたナイフが全部外れるパターンをやってみよう』とか、『剣を使ったオートバイのチェイスをやってみよう』とか、『忍者が暗闇に隠れるのではなく、隠れられないガラス張りの中で戦おう』となる。つまり、シンプルなアイデアを違う視点で見るんだよ。通常、アクション映画は、出だし、真ん中、ラストという、大きな3つのアクションで構成されるけど、僕らは違う。小さいけれどどれも全く違う9つのアクションで構成するんだ」

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僕は誰よりも準備に時間をかける。でも、撮影は他の人の半分ですむ。ナイフファイトは3日間で、ガラス張りのビルのシーンは4日間で撮影した。ほとんどの場合、2週間はかかるだろう。ハル・ベリーのパートも5日間で撮影した。彼女は5日間のために7か月にわたるトレーニングしたんだ。部屋と砂漠でのシチュエーション、犬との全シーン、ガンファイト、2つの演技パートの撮影に5日間だ。なぜそれがやれたかというと、ものすごく一生懸命準備をしたから。その結果、現場で時間の余裕ができて、さらにクリエイティブになれる(スタエルスキ)

 『マトリックス』以来、長年キアヌと仕事をしてきたスタエルスキは、撮影前に多くのトレーニングを積み、作品にのめり込む彼の姿勢を絶賛する。

 「彼は、映画の中のキャラクターを信じられるようにするためには、自分がマーシャルアーツに長けていないといけないことがわかっている。そうすれば、観客がジョン・ウィックという存在を信じられるということをね。さらにキアヌは、ただ動きを覚えるだけでなく、なぜここで彼は柔術を使うのか、なぜバイクに乗るのか? といったことを理解しようとする。アクションの中でキャラクターを描くんだ。ストーリーとアクションは常に繋がっている。幸運なことに、彼はそういったことを理解している役者の一人なんだよ」

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現代を舞台にした殺し屋の話で、ハイパーリアルで、どこかグラフィックノベルっぽいに物にしたいけどワイヤーワークは使わずに楽しみたい。それがジョン・ウィックのアイデアだよ(スタエルスキ)

 「『ジョン・ウィック』にとってプラスなのは、映画は一本ごとに間違いなくクリエイティブ面で良くなっていて、その理由は、キアヌがどんどんうまくなっているということだ。それぞれの映画で、彼はある(アクションの)スキルを学び、もっとキャラクターに入り込む。だから映画は良くなっているし、大きくなっているんだ」。すでにシリーズ第4弾の全米公開(2021年5月21日予定)も発表されているが、スタエルスキの頭の中には、次回作でやってみたいプランがすでにあるという。

 スタエルスキは、名匠・黒澤明監督の作品が大好きだという。キアヌとスタエルスキの信頼関係にはどこか、『用心棒』(1961)や『椿三十郎』(1962)における、黒澤監督と三船敏郎の関係に通じるものが感じられる。この2人の生みだす作品をリアルタイムで体験できることは、映画ファンにとっても幸運なことに違いない。

映画『ジョン・ウィック:パラベラム』は全国公開中
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