ADVERTISEMENT

ゴールデンウィーク映画から厳選! 本当に面白いミニシアター系作品

今週のクローズアップ

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア

 

今週のクローズアップ ゴールデンウイーク映画から厳選!本当に面白いミニシアター系作品

 ゴールデンウイーク映画の中から、アカデミー賞をにぎわせたイラン映画『別離』をはじめ、監督や俳優の個性が光る玄人好みのミニシアター系作品を紹介。
ゴールデンウイーク映画の中でダントツの傑作!アカデミー賞外国語映画賞に輝いたイラン映画

 見終えたあとの余韻の深さがダントツなのは、イラン映画で初めてアカデミー賞外国語映画賞に輝いた『別離』。テーマは、ズバリ「宗教と倫理」。娘の将来のために海外へ移住しようとする母親シミンと、アルツハイマー症の父親を置いてはいけないと拒絶するナデル。生活費を稼ぐためにナデルの父の介護を始めた妊婦ラジエーと、長年勤めた職場を失ったその夫ホッジャト。ある事件を機に、裁判で争うことになる二組の夫婦のそれぞれの主張、駆け引きにハラハラさせられ、彼らを取り巻く人々のウソ、真実の積み重ねによって予想外の展開になだれこんでいくさまに目がくぎづけになる。その中で浮き彫りになっていく「宗教をもって生きることの困難さ」は、日本人にはピンとこないかもしれないが、そういった国の事情を前作『彼女が消えた浜辺』と同様、サスペンス仕立てで描くことで、万人が共感できるドラマに仕上げたところが素晴らしい。監督のイラン人としての政治意識の高さと共に、ストーリーテリングの巧さに舌を巻くはずだ。

 

『別離』4月7日公開
(C) 2009 Asghar Farhadi

“負け犬青春映画”シリーズ最新作は最も過酷な展開ながら感動も倍増!

 夢がかなう人物は数あれど、徹底して夢がかなわない人物を描き続けているのが『SR サイタマノラッパー』シリーズだ。最新作の第3弾『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』は、これまでの中で最も過酷な話だが、観た後の後味が悪いかというと決してそんなことはない。仲間を捨てて上京したものの、東京のヒップホップグループで屈辱にまみれたあげく、犯罪者に身を落としていくマイティと、脱退したマイティを見返そうと怪しげなオーディションにも望みを託すイックとトム。どちらも「負け組」かもしれないが、人生とはこういうもの。クライマックスで皮肉な形で再会を果たした3人が、無念さや情けなさ、怒りを一気に爆発させるラップは痛々しくも、報われない日々を送る人たちへの応援歌のように聴こえる。安易な「救い」や「希望」を用意しない作り手から、どのようなメッセージをくみ取るのか。見方が異なるのも一興だ。

 

『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』4月14日公開
(C) 2012『SR3』CREW

いまノリにノっている瑛太のクールな熱演が光る実在の爆弾魔をモデルにしたダークヒーロー映画

 邦画界の若手俳優の中で、ノリにのっているのが瑛太。テレビドラマ「それでも、生きてゆく」「ラッキーセブン」、映画『まほろ駅前多田便利軒』『一命』『僕達急行 A列車で行こう』など、テレビでも映画でも飛ぶ鳥を落とす勢い。そんな彼が『モンスターズクラブ』で、映画デビュー作『青い春』豊田利晃監督と7年ぶりにタッグを組み、全米を震撼させた爆弾魔ユナボマーをモデルにしたダークヒーロー役に挑戦。「日本社会のシステムを壊す」という途方もない野望にとりつかれた青年の狂気をクールに体現。果たして、この革命は正義といえるのか……? 死んだ兄、弟の幻影との対話の中で、次々と湧き上がる彼の孤独、葛藤を目にするうちに、単なる「狂人」と片づけられない奥深い心の闇が胸に迫る。あまりにも危険な思想の持ち主であることに変わりはないが、資本主義社会を糾弾する彼の真摯さに親近感を覚える者は多いのではなかろうか。


『モンスターズクラブ』4月21日公開
(C) GEEK PICTURES

神技を連発するドニー・イェンの雄姿に大興奮 三枚目の捜査官役で応戦する金城もタジタジ……?

 あの金城武が、黒ぶちメガネ&麦わら帽子で登場……! 中国の辺ぴな村で起きた強盗事件の真相に迫る捜査官の奇想天外な(というかありえない)推理、三枚目に徹する金城の妙味も見ものだが、本作『捜査官X』の主役はドニー・イェン。指名手配中の強盗犯を倒した「平凡な紙職人」という役どころだ。アクションに詳しい人であれば、この設定には裏があるとピンとくるはずで、とにかく中盤から延々と繰り出されるドニーのアクションが圧巻。暗殺集団から放たれた二刀流女刺客との肉弾戦から始まり、片腕で黒幕との対決に挑むクライマックスまで、ド肝を抜く神技の連続で、もはやストーリーうんぬんはどうでもよくなってしまうほど。金城が「ドニーのようにアクション俳優で、アクション監督、しかもアクション以外の演技も完ぺきにやろうとする人は珍しい。まさに文武両道の人」と絶賛している通り、そんなストイックな彼のテクニック、エネルギーをフル投入したかのような気合が感じられる。金城目当てで観に行く女性も、これを機に「燃える雄」ドニーの魅力にシビれてほしい。


『捜査官X』4月21日公開
(C) 2011 We Pictures Ltd. Stellar Mega Films Co., Ltd. All Rights Reserved.

文・構成:シネマトゥデイ編集部 石井百合子

ADVERTISEMENT
  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
ADVERTISEMENT