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「どうする家康」杉野遥亮、時代劇苦手意識を克服 自身とリンクさせながら演じた榊原康政

第44回「徳川幕府誕生」より杉野遥亮演じる榊原康政(小平太)
第44回「徳川幕府誕生」より杉野遥亮演じる榊原康政(小平太) - (C)NHK

 松本潤が徳川家康役で主演を務める大河ドラマ「どうする家康」(毎週日曜夜8時~NHK総合ほか)で、家康の家臣・榊原康政(小平太)を演じた杉野遥亮(28)。大河ドラマ初出演にして、第2回(1月15日放送)から44回(11月19日放送)まで長きにわたって家康の側近となるメインキャラクターを演じた。当初は時代劇に苦手意識があったという杉野が、クランクアップを迎えた心境や本作で得た学びを振り返った。

【画像】榊原康政が退場…第44回より

 杉野演じる榊原康政は、文武に優れた武将。名門・榊原家に次男として生まれ自由気ままに生きてきたところを、家康に才能を見いだされ、のちに酒井忠次(大森南朋)、本多忠勝(平八郎/山田裕貴)、井伊直政(板垣李光人)に並ぶ家康の側近「徳川四天王」の一人として名を馳せることとなる。

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 杉野は約1年半にわたる撮影を終えた心境を、「ホッとした気持ちも大きいです。クランクアップを迎えた第44回は結構がっつり、殿(家康)、平八郎、(本多)正信(松山ケンイチ)とお芝居をしたこともあり、2日間くらいはこの世界観に引きずられている感じがありましたけど、そこからちょっと落ち着いて。1年半の間、他の作品をやりながらも、ずっと頭の片隅に小平太があったので、少し軽くなったような気がします」と語る。

 時代劇ではこれまで映画『居眠り磐音』(2019)、単発ドラマ「さぶ」(2020・NHK BSプレミアム)などに出演しているが、「どうする家康」のクランクイン前には苦手意識があると話していた。1年半を経て、意識に変化はあったのか。

 「全然違います。最初の方は史実に囚われ過ぎていたところもあったと思いますし、康政の輪郭も見えてないし、でも成長させていきたい。終着点も全然見えていないので、どうやっていこうと緊張、不安もあって、頭の中がとっ散らかっていたように思います。それが、第13、14回くらいからでしょうか。康政は史実ではクールとか文武両道といったイメージがあるけど、こういう人だって決めつけるのはもったいない気がして。自分自身に対してもそう思っていたので、それはすごくリンクしました。撮影前には時代劇に恐怖心があって、所作が完璧に入ってない状態でセリフを言ったりすると意識が散漫になってしまったり、そういう意味で苦手意識があるとお話していたと思うんですけど、最後の方は、その瞬間を楽しめたらいいなとか、気持ちを作るっていうことを丁寧にやるだけなんだとか、そういう変化はありました。悔しい瞬間も正直いっぱいあったし、なかなか思い通りにいかないこともありましたが、小平太にだってそういう瞬間があったかもしれないとリンクさせていって、最終的には楽しく終われました」

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第44回より本多忠勝(山田裕貴)、家康(松本潤)、康政(杉野)

 第44回「徳川幕府誕生」では、家康に「老いるな」「まだお前たちの力がいる」と頼りにされながら、康政と忠勝がこの世を去ることとなる。「現代風に言うなら、最初の方は殿に対しても友達とか、ちょっと年上の先輩みたいな感覚に近かったと思います。だけど、途中からは自分がやるべきことや役割が明確になってきたし、そのために何をすればいいかっていうこともわかるようになって大人になった」と康政の成長を振り返る杉野。撮影の最終日は松本や山田とコミュニケーションをとりながら撮影に臨み、「自由に楽しくお芝居ができて、自分はこの仕事が好きなんだなと思えた」と晴れやかな表情を見せる。

 「松本さんと二人のシーンはなかなかなかったですから、関ヶ原の戦いに遅れた秀忠(森崎ウィン)を叱責する家康に対して“皆の面前であのようにお叱りになるべきではござらぬ”と進言するシーンも、セリフ噛まないようにしなきゃとプレッシャーでした。第44回では元の徳川家臣団の面々が康政と平八郎だけになっていて、軍議をする時の顔ぶれも全然違う。自分(小平太)はもうここに立ち入っていくべきではないなと感じましたし、殿と若い者たちの間で自分にはわからない会話が交わされているのを見た時には感じるものがありました」

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第32回「小牧長久手の激闘」より忠勝と康政

 撮影では家康を演じる座長・松本の存在にも助けられたとも。とりわけ思い出深いのが、第32回「小牧長久手の激闘」。これまで猛将・忠勝の背中を追い続けてきた康政が自身の進むべき道を見いだし、軍師として目覚ましい活躍を見せた。

 「小牧長久手の時は、康政の内側に関する描写があまりなかったので、殿に対しての気持ちもちゃんと見えたらいいなと思ってお芝居をしていました。康政っていう人は徐々に徐々に殿に忠義を尽くしていく人なのかなと思いつつ、あの場面では縦の関係が見えたらいいなと……。殿(松本)がいたからっていうのは1年間ずっと感じていたことです。家康がいてこその康政だったと思います。特に、第32回の「小牧長久手の激闘」あたりから、殿とのやり取りでヒリヒリする感覚があって。緊張感もあったし。松本さん演じる家康が、その当時家康公が背負っていたであろう何かを背負っているように感じられて、すごくリアルに見えて。時には集中しづらいというか、どうしても役に入っていけないこともあるのですが、松本さんが現場に入られると自分も自然と康政になりやすい感覚があって、存在そのものに助けられました」

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 撮影を終えて、榊原康政の墓参りに行ったという杉野。大河ドラマで歴史上の人物を演じる場合、撮影前に墓参りに行くことが多いが、杉野は「怖さもあった」とその真意を話す。

 「あらかじめ行く方が多いと思うんですけど、タイミングが合わないという問題のほかに、怖さがありました。歴史上の人を演じることは、自分にとっては危険なことでもあると思っていて。そんなに簡単じゃない。自分が榊原康政を演じていいんでしょうかっていう不安があって、おそらく自信もありませんでした。だけど、終わった時には“いい仕事できたな”“ありがとうございます”“お世話になりました”という気持ちになり、ようやく行くことができました」

 今年も本作のほか、ドラマ「罠の戦争」(カンテレ・フジテレビ系)、映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』、そして主演ドラマ「ばらかもん」(フジテレビ系)など激務の一年を駆け抜けた杉野。初の大河ドラマで得たことについては「共演者の方々、スタッフさん、脚本の古沢良太さん、多くの出会いがありました。でも得たことが何か、というのは、何年後かに見えたりするものなのかなと。今の段階では分からないのが正直なところです」と俳優としての今後に思いを馳せていた。(編集部・石井百合子)

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