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「どうする家康」溝端淳平、闇落ち氏真の反響振り返る メイン回のテーマは「家族愛」

第12回「氏真」より、今川氏真(溝端淳平)と妻・糸(志田未来)
第12回「氏真」より、今川氏真(溝端淳平)と妻・糸(志田未来) - (C)NHK

 松本潤主演の大河ドラマ「どうする家康」(毎週日曜、NHK総合夜8時~ほか)で駿河の戦国大名・今川義元の息子・氏真を演じる溝端淳平。兄弟のように育った徳川家康と対立関係に転じる役どころで、2月12日放送の第6回「続・瀬名奪還作戦」では「氏真が闇落ちした」と視聴者を大いに沸かせた。溝端自身はその反響をどのように受け止めているのか。

【画像】闇落ち氏真の歩み

 戦国乱世に終止符を打ち、江戸幕府初代征夷大将軍となった徳川家康の軌跡を、『コンフィデンスマンJP』シリーズや映画『レジェンド&バタフライ』などの古沢良太が等身大の目線で描く本作。溝端演じる今川氏真は、今川に人質として預けられた家康(当時は竹千代)と兄弟のように育った仲。槍の稽古ではいつも氏真が家康を負かしていたが、ある時、家康がわざと負けていることを義元(野村萬斎)が見抜き、そこから氏真は家康にコンプレックスを抱き始める。さらに、義元が尾張の織田信長(岡田准一)に討たれた際、家康は氏真を裏切って信長側につき、二人の溝は決定的なものになっていく。第6回「続・瀬名奪還作戦」では、氏真が今川に取り残された家康の妻・瀬名(有村架純)とその家族を皆殺しにする決断を下し、その変貌ぶりが視聴者を震撼させた。

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大河ドラマの現場は「蜷川演劇」と似ている

第12回より

 溝端にとって今回が初の大河ドラマ出演。溝端は舞台経験も多く、蜷川幸雄演出の舞台「ヴェローナの二紳士」(2015)では主演を務めているが、大河ドラマの撮影現場は「蜷川演劇」と似ているとも。

 「リハーサルの時もスタッフさんが小物などをたくさん用意してくださって、“さあ氏真をどう演じてくれるんだ”というような空気を感じていました。蜷川演劇では台本もセットも100%の状態で用意されていて、蜷川演劇では何をやってもいい、芝居でやっちゃいけないことなんてないんだということを教わったのでその空気感が似ていて血が騒ぎました。第12回では氏真が森で剣の修業をするシーンがあるのですが、感情が入ってしまって木刀を3本ぐらい折ってしまいました。毎回とことん役者の持っているもの、役の感情を最大限に出せる環境にしていただけて、ありがたかったです」

「氏真が闇落ちした」と反響を呼んだ第6回

第6回「続・瀬名奪還作戦」より人質交換のシーン

 氏真は今のところ“ヒール”として注目を浴びているが、溝端自身は自覚して演じていたのか。「存在感を残さなければと思ったのが、家康と対立してからの第4回からぐらいです。自分としては氏真をヒールとしてはとらえてはいなくて、繊細で弱い人間だと思って演じていましたが、第6回に関しては言葉を選ばずに申し上げるとヒールに見えるほど“効く”と思っていました。視聴者の方々から見てそれなりに怖いとか、強そうとか、印象に残らないとこのエピソードが面白くなくなってしまう。演じているときは、人質だった家康を厚遇して弟のようにかわいがっていたのに、裏切って父親を殺した側についた。恩を忘れやがって! ということしか考えていなかったです。第6回の頃の氏真は、自信がもてなくて卑屈になっている。自信がないから人に弱みを見せられない。歯向かう者にすぐ癇癪をおこすというのも何かを恐れているからだと思うんです。悪だくみをしてあの手この手で人をだますような狡猾な人、善人面をした人ではないので氏真はある種、ピュアだと思っています」

 第6回では、家康らが捕らえた今川の家臣・鵜殿長照(野間口徹)の2人の息子と、今川に捕らわれの身となった瀬名と家族の人質交換が行われた。川を挟んで家康ににらみをきかせる氏真。瀬名が竹千代、亀を連れて川を渡る途中、氏真は合図を出そうとするが、竹千代の「父上!」という呼び声を聞くとはっとした表情を浮かべて押し留まる。この時の氏真の逡巡について、溝端はこう語る。

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 「このエピソードでは父子がテーマだったので、“父上“というワードがとても重要でした、氏真は義元公という存在に、どこか神のような、呪いのようなものがまとわりついているんです。本当は瀬名たちを親子もろとも殺そうとしていたのが、“父上”というワードを聞いてふと“人間”に戻ってしまったという解釈だと思っています」

松本潤は「男気のある座長」

第1回「どうする桶狭間」より氏真と家康(松本潤)

 また、第6回は溝端のみならず松本も相当な気の入れようで、溝端はあらためて松本の座長ぶりを目の当たりにしたという。「早朝から(人質交換の)川を挟んだシーンの撮影だったのですが、今川家側から撮っていたので、スタッフさんが“松本さんは代役で大丈夫ですよ”とおっしゃっていたんですけど、松本さんは“それは今川勢の方に失礼だ”と参加してくださいました。前日には松本さんの呼びかけでみんなで食事をして結束が固まりました。チームワークを大事にしてくれるので、より一体感が生まれますね。大河には多くのキャストの方々が出演されますが、全てのキャストが演技をしやすいように最善を尽くしてくれています。改めて男気のある方だと感じました」

 第12回「氏真」は、タイトル通り氏真をメインにしたエピソードで、氏真が一つの区切りを迎える。溝端いわくテーマは「家族愛」。

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 「野球選手で例えると大谷翔平さんみたいになりたいと思っても、きっとなれない人の方が多いと思うんです。でもなれたらなれたでずっと悩みはつきものなんだというメッセージが伝わってきて感動しました。氏真に関しては第12回までで1セットと思っていて、逆算して役をつくっていった感覚があります。ここまでずっと感情が高ぶった状態をキープしたまま駆け抜ける回はなかったと思うので、いい意味で緊張感のあるエピソードを楽しんでいただけたらと思います」と視聴者に呼び掛けた。(編集部・石井百合子)

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