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「進め!電波少年」「はじめてのおつかい」やらせ疑惑の真相!森達也監督とテレビ局が激論

『FAKE』の森達也監督とテレビ局のプロデューサーたちが「やらせ」を巡り激論!
『FAKE』の森達也監督とテレビ局のプロデューサーたちが「やらせ」を巡り激論!

 2014年のゴーストライター騒動の渦中にあった作曲家・佐村河内守氏を追ったドキュメンタリー映画『FAKE』のトークライブが27日、都内で行われ、本作のメガホンをとった森達也監督をはじめ日本テレビやNHKなどテレビ局のプロデューサーたちが、「我々は『FAKE』より面白い番組をつくれるか?」をテーマに、観客との質疑応答も交えて2時間を超える白熱した議論を行った。トークショーには土屋敏男氏(日本テレビプロデューサー)、岩間玄氏(日本テレビプロデューサー)、大島新氏(ドキュメンタリー作家)、前田浩一氏 (NHK編成局コンテンツ開発センター チーフ・プロデューサー)らが出席した。

【動画】佐村河内守のドキュメンタリー映画『FAKE』予告編

 同作はこれまでオウム真理教を題材にした『A』(1998)や『A2』(2001)などを手掛けてきた森監督の、単独の監督作としては15年ぶりとなる長編ドキュメンタリーで、公開されるやユーロスペースでは初日から5日間連続満席になり大ヒットとなった。

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FAKE
やらせ疑惑で話題を呼んだ「進め!電波少年」のエピソードも

 トークではテレビ番組における「やらせと演出の違い」も話題に。ここで、土屋氏は当時バラエティー番組「進め!電波少年」(1992~1998)で猿岩石有吉弘行森脇和成)たちが行っていたヒッチハイクの旅を引き合いに出して、「8時間撮ったものを6分に編集することもあるし、そこにはこう感じて欲しいという思いがある。例えばあの時有吉は純粋ないい奴に見えていたかもしれないけど、本質は今と変わらないです。でも、それを全部切って隠してあるからああいうふうに見えているわけだし。いまだに本当にヒッチハイクをしていたか聞かれる事もあるけど、どうでもいいと思います」とコメント。

 本作では「衝撃のラスト12分間」の内容も話題になっており、その流れで映画評論家の町山智浩氏がラジオで本作について、「最後にやらせがある」と発言して注目されたことにも触れ、森監督は「あれは悪意ではなく、こう言ったらインパクトがあるだろうという意図だと思います」と解釈。そのラストを含め作為を感じさせるシーン(佐村河内氏と妻が愛を語る場面)について森監督は「あそこはこの作品の山場でもあります。テレビの人から『なんで切らないの?』と質問されて『切っちゃ面白くないでしょっ』という会話を何度かした事があります。それは、撮影する側の作為をあまり出さない方がいいという意識からそういう質問をしていると思う。僕は逆で、ドキュメンタリーは相互関係としてむしろ使いたい。けど、テレビの常識からするとディレクターの声みたいなものはカットするようになっているのかな」と意識の違いを語った。

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 この議論には、岩間氏も通行人に「こう歩いて」とお願いしたところ「やらせ?」と受け取られたことのある経験を挙げ、「不毛だしどうでもいい話だと思う。それをやらせと呼ぶか作為のある演出と呼ぶかは、その表現を基づかせるために何が必要だったかが大事」と説明。その上で、バラエティー番組「はじめてのおつかい」を例に出すと、「あれも事実を捏造(ねつぞう)しているわけではないですが、子供が初めてのお使いに行く日に僕らが周到に準備して、テレビカメラが入ってドキュメントとして追いかけていくという意味では大きなやらせです。でも、年間2万件やります。そして、放送されるのは6~7件だけ。残りは成立しないけど、それだけやります。そこをちゃんと仕掛けていくから、テレビとして豊かなものが撮れると言いたい」と述懐。続けて、町山氏の発言について「『壮大なやらせがありますよね』という意味も分かるし、 それを是とする森さんのあり方にも喝采を叫びたい」とまとめた。(取材・文:中村好伸)

映画『FAKE』はユーロスペースにて上映中

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