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ハリウッドで映画化された作家・桜坂洋に直撃!貴重な経験で得たものとは

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原作者の桜坂洋
原作者の桜坂洋

 トム・クルーズ主演でハリウッド実写化された映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』の原作にあたるライトノベル「All You Need Is Kill」の作者・桜坂洋が、今回の経験を通じて得たものを語った。映画について、桜坂は「面白かったですよ」と絶賛すると、「意外とひとごととして観られましたね」と心境を明かしている。

映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』フォトギャラリー

 本作は近未来の地球を舞台に、ある兵士が戦闘と死のループを繰り返しながら、徐々に強くなっていくさまを描いたSFアクション。「戦闘と死のループ」という小説のアイデアを借りつつも、主人公などの設定には多くの変更が加えられている。「トム・クルーズが主人公をやることになったので、最初の方はトムを映画のキャラクターに近づけていくためのシーンで、真ん中くらいが原作に一番近いところ。それで最後は多少、原作から離れて、アメリカ的な、みんなが受け入れられるラストに向かうという感じですね」と桜坂は映画版の構成を解説する。

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 「映画は2時間の枠に収めることが大前提なので、(改変は)仕方ないことではありますよね。わたし自身、原作を書いていた時はライトノベルの約束事をいくつか盛り込んでいます。今回はハリウッドのお約束として、そういうのが入るわけですよね」と理解を示した桜坂。それでも原作の軸となる部分は、やはり映画にも引き継がれているという。

 それはズバリ、現代に生きる人々を書いているという点だ。戦闘と死のループを経て、徐々に主人公が強くなっていくという発想はもともと、テレビゲームにおける「リセット・コンティニュー」の流れから着想を得た。「だからわたしが書いたのは、現代の若者についての本といえるでしょうね。ゲームをやっていたり、あるいは引きこもりだったり。そういった人たちの人生観に近いとは思う。そうなると、確かに映画版の主人公は引きこもりではないです。アメリカ風というか、アメリカ人ならこうなるよという感じです。でも、それは日本とアメリカの文明の違い、死生観がそのまま出ただけで、現代に生きる人、現代の文化を吸収して生きてきた人の性が表れているのに違いはないんじゃないかと思いますよ」。

 実際、桜坂自身、脚本はごく初期段階に見せてもらっただけで、特に口出しなどはしていないと明かす。「そのころは、ストーリーも完成版とは全然違っていて、むしろ、そちらの方が原作には近かったですね。でも、だからどうというわけではなくて、そういうふうにアメリカで翻案されたものを自分の書いたものと比べると、どういう要素が残されたのか、どういうものは通用しないと判断されてカットされるのか、そしてどういうものが新たに付け加えられたのかがわかるんです。それで重要なのは、残されたものではなくて、カットされたものの方だと思うんですね。向こうの人が『われわれにはわからないからカットした』という中にこそ、日本人が描く物語の独自性、世界と戦える武器が隠れているんじゃないかという気がします」。

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 そのことは、今後の執筆姿勢にも生かされるのではないか、と桜坂。「例えば、原作と映画はラストが違います。でも、じゃあ次に映画の原作を書こうというとき、最初からハリウッド側に寄せるかというと、それは違うと思う。わたしは自分で書けるものを書いて、『そこから先はあなたたちが変えてください』という立場を取ると思うんですね。おそらく、そこにはギリギリのラインのようなものがあって、そこから先に行ってしまったら、もうそれはアメリカの作家が書けばいいということになるんじゃないかと思うんです」と持論を展開した。

 現在、桜坂は「All You Need Is Kill」の続編を執筆中だという。詳しいことは明かさなかったが、「20年後くらいに、また映画になったらいいなあとは思いますね。『トータル・リコール』みたいに。それで、リメイク版はダメだったりするんですよ」と笑いながらも、願望を口にしていた。(編集部・福田麗)

映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』は全国公開中

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