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サンダンス映画祭で審査員賞を獲得した13年間も2人の子どもの教育に迫った映画とは? (ニューヨーク映画祭)

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ミシェル・ステフェンソンとジョー・ブリュースター
ミシェル・ステフェンソンとジョー・ブリュースター

 第51回ニューヨーク映画祭(N.Y.F.F'51)で、今年のサンダンス映画祭で審査員賞を受賞した話題のドキュメンタリー映画『アメリカン・プロミス(原題) / American Promise』について、共同監督ジョー・ブリュースターとミシェル・ステフェンソン夫妻が語った。

 同作は、同じ私立の小学校に通う5歳のアフリカ系アメリカ人の子ども、イドリスとセアンが教育を受け、大学に入るまでの13年間を追ったドキュメンタリー。イドリスは、ジョー&ミシェル夫妻の子どもでもある。

 今作を撮影することで、両親である彼らの教育方針に変化はあったのか。「この撮影を通して、教育に関してかなり衝撃を受けた。子どもを持つ親のほとんどが、子どもの成長過程で教育方針を変えていくように、僕らも変わっていった。子どもにはマニュアルが付いてくるわけではないから、僕らもイドリスと話し合いながら、教育の問題を解決していたし、イドリスの社会性や感情にも常に注意を払っていた。そして学問に関しては、イドリスにより良い成績を求めるようになった」とジョーは明かす。

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 13年という長い期間の中では当然、あの出来事を撮影しておけば良かった……と思うこともあったのではないか。「もちろん、撮影しておきたかった出来事もあったけれど、13年間で約800時間も撮影していたから、編集過程でそれらを含めることができたかはわからないわ。それを除いても、かなり困難な編集だった」とミシェルが答えると、ジョーは「13年間で僕らの撮影スタイルも変わっていった。当初は学校のイベント、子どもの誕生日、実地見学などにも焦点を当てていたが、子どもたちが小学5、6年生になった頃から、カメラを子どもの居る部屋に設置して、何か起こるのを待つようにした」と答えた。子どもがカメラをあまり意識しない方が、良い映像が撮れたようだ。

 そんな本作で伝えたかった点について「我々の子どもを含めた黒人の中学生たちは、公立でも私立でも学問において多くの問題を抱えていることがわかっていたけれど、黒人の学生が学力が劣るというような型にはまった見解を壊す意味でもこの映画を作りたかった」と語るミシェル。その言葉の通り、映画内ではさまざまな教育問題を浮き彫りにしながら、一般的な教育に対する先入観を打ち砕いていく。

 映画では13年間の撮影を通して、家族愛、教育、成長、学問とさまざまな要素が描かれており、完成度の高いドキュメンタリー作品に仕上がっている。(取材・文・細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)

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