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朝鮮人強制労働者の遺骨収集に迫る…9時間超えのドキュメンタリーが公開

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映画『笹の墓標』より
映画『笹の墓標』より

 日本人、韓国人、在日コリアンの若者たちが、戦時中の北海道で行われたダム工事や鉄道工事で命を落とした朝鮮人労働者らの遺骨を発掘し、遺族に届ける15年間の活動を収めた約9時間の長編ドキュメンタリー映画『笹の墓標』が、17日の沖縄を皮切りに順次劇場公開されることがわかった。メガホンを取るのは、これまで沖縄の米軍基地問題などに切り込んできた影山あさ子藤本幸久だ。

 本作が追うのは、1930年代後半から1940年前半にかけて200人以上の労働者が犠牲になったという北海道幌加内町朱鞠内で、1997年に強制労働犠牲者の遺骨を発掘するためにスタートした「東アジア共同ワークショップ」。日本人、韓国人、在日コリアンの若者たちが国境を越えて集まり作業を共にする中で、時に歴史的立場の違いや先入観からぶつかり合いながらも交流を深めてきた。

 当初からスタッフとして活動に参加してきた影山監督は、「遺骨に出会うということは、厳粛な歴史の現場に立ち会うということ。その人は、なぜここに埋められたのか。どのように亡くなったのか。どのように埋葬されたのか。遺骨が教えてくれるのは、本当にあったこと。言い逃れのできない歴史の事実」だと語る。そして、「記録されなければ、埋もれてしまう事実がある」と本作を撮り始めた理由を明かす。

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 15年間で撮影されたフィルムは約700時間。全5部構成の9時間9分という超大作に仕上がったが、影山監督は「出会った人々や物事を通じて、そこに参加した若者たちも変わっていくが、その後、どうやって生きていけばよいのか、すぐに答えは見つからない。若者たちが選ぼうとした未来がどのようなものだったのか。それを記録するにも、やはり15年という撮影期間と9時間という時間が必要だった」と振り返った。

 影山監督が本作を通じて伝えたいのは、「日本人、韓国人、朝鮮人、国籍や地域、民族の違いはあっても、向き合わなければならない歴史の事実がある」ということ。「平和な未来をつくる鍵は、共に生きていきたいという強い願いを持つことにある」と語る監督は、「若者たちの15年の試みを通して、わたしたちの未来はどこにあるのか、観る人にも一緒に考えてほしい」と強く呼び掛けている。(編集部・中山雄一朗)

映画『笹の墓標』は8月17日より桜坂劇場(沖縄)、11月よりシネ・ヌーヴォX(大阪)、名古屋シネマテーク(名古屋)、12月14日より光塾(東京)にて公開予定

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