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『グリーン・ホーネット』製作での苦労が報われて全米ナンバーワン! -1月17日版

全米ボックスオフィス考

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映画『グリーン・ホーネット』より
映画『グリーン・ホーネット』より

 映画化決定直後から主役がコロコロ代わり、チャウ・シンチーの降板劇など紆余(うよ)曲折を経てやっと公開された映画『グリーン・ホーネット』が、封切り初週のパフォーマンスが懸念されていたものの、それまでのネガティブオーラを振り払うかのように、3,370万ドル(約28億6,450万円、うち69パーセントが3D上映から)という収益をたたき出して全米映画ランキングの堂々ナンバーワンに輝いた。(1ドル85円計算)

今週第1位の映画『グリーン・ホーネット』写真ギャラリー

 その昔ラジオ番組だったこの作品がテレビ番組化されたとき、ブルース・リーがグリーン・ホーネットの相棒カトーを演じて俳優としての知名度を高めた。しかしこの『グリーン・ホーネット』の映画化は、先にも触れたが今回公開されるまで前途多難だった。苦労続きのプロダクションだった上に、去年、毎夏恒例のコミコンでその予告編が不評だったことから、ソニー・ピクチャーズはファンに不評だった個所の変更と共に、映画全体の流れをまとめるべく異例の大々的追加撮影を敢行。映画封切りに向けてのPR作戦にも手直しを入れた。巨大予算をかけた大作を救うべくスタジオをあげて全力投入したのである。苦労のかいあって『グリーン・ホーネット』が全米第1位になったというニュースは、スタジオ側にとって新春一番の朗報となったに違いない。

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 3,584館・推定5,700スクリーン(うち2,704個所が3D上映館)で公開された同作品は、配給ソニー・ピクチャーズの観客調査によると61パーセントが男性客で年齢層は25歳以上と以下がほぼ半々であったという調査結果が発表されている。

 今週の第2位は、初登場の映画『僕が結婚を決めたワケ』で1,783万ドル(約15億1,555万円)。ヴィンス・ヴォーン主演のどことなくマイナー感漂うコメディーだが、実は監督がロン・ハワードなのである。

 ハワード監督の作品といえば、映画『天使と悪魔』が記憶に新しいが、アカデミー賞受賞作品にもなった映画『ビューティフル・マインド』に代表されるように、ドラマを得意とするハワード監督が久々のコメディーに挑戦ということで、この先チャートに居座りジリジリと成績を伸ばす可能性がありそうだ。

 今週第3位は、新作にトップから押し出された形となった映画『トゥルー・グリット』で1,091万ドル(約9億2,735万円)。25.3パーセントの収益ダウンで公開から27日での総合興行収入は1億2,830万ドル(約109億550万円)となっている。ゴールデン・グローブ賞ではノミネートすらされなかったこの秀作は、今月25日(日本時間26日)に発表されるアカデミー賞ノミネーションにかけており、その結果次第では盛り返す可能性がある。

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 続いては、先週第9位から大ジャンプで第4位に食い込んできた映画『英国王のスピーチ』で917万ドル(約7億7,945万円)。先日発表されたゴールデン・グローブ賞で最優秀映画作品賞(ドラマ)は映画『ソーシャル・ネットワーク』に取られてしまったもの、最優秀主演男優賞(ドラマ)は『英国王のスピーチ』のコリン・ファースが受賞し、数々の映画賞のトロフィーコレクションを増やし続けている。ちなみにこの2作品は、アカデミー賞でもバトルになると予想されており、これからのPR展開が見ものである。

 今週の第5位を飾ったのは先週と同じ順位の映画『ブラック・スワン』で838万ドルの売り上げ(約7億1,230万円)。ゴールデン・グローブ賞では主役を務めたナタリー・ポートマンが最優秀主演女優賞(ドラマ)を受賞。ナタリーはアカデミー賞でも主演女優賞の有力候補といわれており、映画賞の受賞に伴って『ブラック・スワン』自体の興行収入がどこまで上昇するかに注目が集まっている。

 次回のチャート予想だが、週末封切りの映画でトップ5入りしそうな映画は辛うじて1本。ナタリー・ポートマンが『ブラック・スワン』の雰囲気とは打って変わってラブコメのヒロインを演じ、アシュトン・カッチャーと共演する映画『抱きたいカンケイ』だ。

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 『ブラック・スワン』の迫真の演技でオスカーの呼び声も高いナタリーが、授賞式間近の大切な時期にこのような軽い作品に出たら悪影響になるのではという懸念の声も聞かれるが、ナタリー旋風が吹いている昨今、この新作の収益のみを考えれば絶好の公開時期といえるのかもしれない。

 来週・再来週の公開作品ラインアップからいって、まだ全米ボックスオフィスの低迷が続きそうな気配である。映画祭シーズンもたけなわだが、果たして各映画祭での受賞作品が新たなエネルギーを得てボックスオフィスにパワーを与えてくれるのかどうか注目されている。(文・取材: アケミ・トスト/Akemi Tosto)

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